匿名さん 2023-03-08 21:19:11 |
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金持ちだって痛いのは嫌い、なはずなんけどねえ。
(はらりと落ちてきた黒髪を鬱陶しそうに指先でつまんで耳へかけると、不満げに眉を顰める、忌々しげに伸びた語尾と低い声はいつもの神父様を知っている人々が聞けば耳を疑うようなもので。眠れぬ程痛む傷や病に苦しむ夜に、安寧を与えてくれる誰かを求めるのは貧乏人も大金持ちも変わらぬ筈、そして金で解決しないそんな悩みを持つ哀れな権力者を探しているが簡単には見つからない、もしや多くの他人はそんな物に頼らなくても安心感を得る術を持っているのだろうか?、なんて思案しながら彼と共に歩いて。足音が高い天井にふたつ響く、きっちり大幅なリズムを刻むそれと、不格好に引き摺るような音と。
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