ウチナーイキガ 2023-03-03 00:39:49 |
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ありがとな、助かる。
( テレビから流れるバラエティに出演している芸人達の笑い声が部屋の隅へと消えていく。その声に気付いてぱ、と目が覚める。どうやら軽く寝ていたようだ。次の琉球織物の展示会に向けてスタッフとリモートで打ち合わせをした後、堅苦しい会話から少々気疲れをおこし、少し目を閉じていたはずだが、自身でも気づかないうちに眠りについていた。ソファにもたれ掛かる形の体勢があまり良く無かったようだ、立ち上がろうとすると節々が悲鳴をあげる。あがっ、と悲痛な声を漏らしながらも何とか踏ん張って立ち上がる。ぐぐ、と背伸びをしてふぅ、と小さなため息を吐き出せばベランダ側の窓から見える景色が夜景へと変わっている。もうそんな時間か、そろそろ隣も帰ってくる頃だろうが、取り敢えず先に飲み始めよう。そう心に決めては冷蔵庫からビール缶を取り出し、かしゅ、と音を鳴らし開ければぐいー、っと喉に流し込む。乾いた身体に深く染み込むアルコールと炭酸に声にならない声を出すとベランダへと歩みを寄せた。サンダルを履いて手摺りにもたれては、頬を透き通る冷たくも心地好い風に目を細めて街を眺める。引っ越したばかりの頃は右も左も分からなかったが、隣に住まう女性のお陰で何とか一年をやり過ごせた。そんな事を考えていると隣の扉が開く音に意識が向く、どうやら帰宅したみたいだ。ベランダに出てくるも、こちらに気付く事もない程にビールへの気持ちが今は強いようだ。ふ、と笑いながら少し身を乗り出し、缶を近づけて声を掛けた、)
えー、お疲れ様です。今日も大変だったみたいやんに?とりあえず乾杯しようやっさ。
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