匿名さん 2023-02-22 09:00:47 |
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【 西園寺 桜華 】
琥珀……、
( 彼女の力ない声にぎゅ、と心臓を鷲掴みにされたかのような錯覚に陥る。違う。貴方は最初から私の事守ってくれていた。ぐるぐると脳内を巡るそんな想いは言葉にならず、桜華はただただ彼女の謝罪に謝らないでと首を横に振ることしかできず。彼女が言っているのはきっとただの結果論ではなくて、もっと別のところだから。それでも自分を守ってくれたこの愛しい人に、謝らせたくなんて無かった。桜華はそっと彼女の両頬に手を添えて瞳を絡ませては、そのまま彼女の唇に自分の其れを押し当てて。「 私、何も怪我してないわ。ただ怖かっただけ。それも今琥珀のおかげで無くなったわ。……だから、平気よ。私、貴方に守ってもらったもの。 」まだ涙に濡れたヘーゼル色の瞳で彼女を見つめては、そのままこつりと額をつけて。〝だから謝らないで〟その一言こそ口にしないものの、いつの間にか桜華の震えはなくなっていて。 )
【 西園寺 奏 】
……人を守る拳だ。かっこいいね。
( 彼の言葉に1度だけぱちりと驚いたように瞬きをした後に、まるで将来の夢を語る子供を見るような、自分には無い何かを眩しがるような、そんな顔で笑って。彼のように真っ直ぐな人を見ていると、日頃〝人間の醜い部分〟を見てばかりの自分の心も真っ白に洗われるような気持ちになる。周りの環境ってやっぱり大事なんだな、とぼんやりと考えていたものの彼の言葉と眼差しにキョトン、と瞳を丸くして。おーら、と彼の言葉を小さな声で復唱したと思えばぷは、と吹き出して。「 職業病だよ、法廷では呑まれた方が負けだからね 」と可笑しそうにくすくすと笑いながら彼が思っているほど良い物ではなく社会人特有の病気だと。 )
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