匿名さん 2023-02-22 09:00:47 |
通報 |
【 西園寺 奏 】
ん?うん、ここから5分くらいかな。
( 彼の言葉に柔らかく微笑みながらさらりと答えては、少し人気のなさそうな路地に入ったところにひっそりと佇む見るからに高級そうな店構えの前で足を止め。〝一見さんお断り〟と達筆な字で書かれた和紙が貼り付けてあるのを無視してそのままガラガラと扉を開ければ、外見から予想して取れるとおり1Fはカウンターのみで大将と向き合う形の店で。「 やあ、お世話になります。入れるかい? 」と強面の大将に声をかければどうやら2階に席があるようで、もう直ぐに入れるよ、と妹たちを呼びに行こうと後ろの彼をふりかえって微笑み。 )
【 西園寺 桜華 】
ッ、……。
( まるで狙ったかのように声を掛けてきた男たちに、思わずヒュッと息が詰まる。1人だけでもまだ怖いというのに、5,6人も柄の悪い男が近付けば声すらも出なくなってしまったようで。自分を庇うように後ろ手に匿ってくれる恋人に「 こはく、 」と不安と恐怖を滲ませた声で名前を呼んで。さすがの彼女もこんな人数相手では無理だ、と震える手で鞄の中から父に手渡された防犯ブザーを取り出せばいつの間にやら背後に居た男にその手を掴まれ、そのまま引き寄せられそうになり「 や、 」と小さな悲鳴を上げる。だがしかしその拍子にピンも抜けたのか防犯ブザーはけたたましい勢いで音を上げ。 )
トピック検索 |