主 2023-02-11 00:33:03 |
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(問い掛けられた兄の事について答える間も無く、現れた子供達が持って来た絵が目に入れば相手の死角で僅かに表情が緩む。
室内に戻ろうとする相手の腕を無意識の内に掴んでは「其の絵、貰っても良いか。」と問い掛けて。
言ってしまった後に内心己は何を言っているんだと焦るも、少年が己を呼びに来たのを良い事に誤魔化す様に室内へと戻って。
(空が暗がり始めた頃、子供達は草履を履いた後相手に別れの挨拶をしており。
昼間の謎の依頼書を思い出しては今夜は大人しく猫探しでもしようと思っていた所。
少年が子供達の群れから離れた場所で池をじっと見詰めている様子が目に入っては其方へと歩み寄る。
少年の目の先にあるのは池の中で優雅に泳ぐ鯉。
あまりに身を乗り出している様子から池に落ちてしまわないかと不安に思い「小太郎!」と呼べば少年の身体は体制を崩しぐらりと傾く。
慌てて駆け寄り少年の腕を掴んだかと思った時、何故かふと軽くなった身体に今度は己が体制を崩してしまい___。
派手に池に飛び込んでしまったと溜息を漏らす。
少年は無事だろうかと顔を上げた所、目の前にいるのは青褪めた表情の少年。
しかしおかしい、少年の身体がやけに大きい。
『ら、爛、…どうしよう、どうしよう。』
(わなわなと震える少年に一歩踏み出した所で更なる違和感に気が付く。
恐る恐る足元を見れば銀毛に覆われた丸い足。
『小太郎ー!!!どうしたのさっきの音!!!』
(ぱたぱたと子供達が駆け寄って来る音が耳に入り冷や汗を流す。
無意識に能力の解放でもしてしまったのだろうかと、水面に映る自分の姿を確認した所で絶句した。
___映っているのは何とも太々しい表情をしている猫。
冷静に思い返せば狼化状態の自分の足はこんなに小さくもないし、爪は鋭くこんな丸くは無い。
何が起こったのか理解できずに少年と水面に映る自分を交互に見ては子供達が集まって来て。
『あれ!猫だ!』
(手を伸ばして来る少女から逃れる様にして少年に近付き「どういう事だ…。」と問い掛けるも言葉にはならず。
少年が自分を抱き抱え小さな声で猫の鳴き声を真似た様な声を漏らす。
『“御免なさい。どうしよう、何とかするから。”』
(泣きそうな少年の表情、何故か言葉として伝わった鳴き声から何と無く察するも困惑したままの頭に整理は追い付かずに。
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