主 2023-02-11 00:33:03 |
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( 目まぐるしく起きる出来事、瞠目し思考停止する間に相手と二人きりに。
なぁん、とこの場に合わないのんびりした声が聞こえて下へ視線をやれば、猫が相手の足にしなやかな身体を頭から尻尾の先まで擦り寄せて甘えている。
ぐるぐると喉を鳴らす音まで聞こえてきて、動物は心の優しい人が分かるのだなとズレた事を思い視線を相手へと。
すると此れまた普段と凛とした姿からは想像付かぬ俯き顔。
段々思考が回り始めれば不謹慎だろうが可笑しくなり、ふッと少し吹き出すように笑って。
「なんて顔をしてるんだ。…悪かったよ、瞳の色のことは病だと言われて信じてしまった。御前はあまり兄を好かないようだし、見間違えて一緒にされるのは不快だよな。」
( 見慣れない顔、年相応の何処か膨れた少年の姿と重なりつい笑い混じりになって相手の髪に手を伸ばしくしゃくしゃと撫で回す。
然し、後述は静かで穏やかな声色に変え、手は頭に置いたまま俯き顔の理由の予想を口にする。
ただ、芽生えてしまった感情。
その感情が相手の一つ一つの言動に期待してしまう。
もしかしたらと__。
__爛。
そう呼びかけようとして短く息を吸い、髪に置いていた手をそっと離す。
「でも、そうか。彼奴が御前の…、海外に居ると聞いていたが帰ってきてたんだな。その、御前だと思ってさっき文のことや先祖の話を少し話してしまったんだ。向こうも先祖の記憶はあるようだった。気付かずに余計な話をしたかもしれない。…俺が言える立場じゃないが突然のことで御前も混乱してるだろうし力になれることがあれば言ってくれ。」
( 呼べなかった名前。その代わりの言葉も本音。それでも何処かもどかしい。
無意識に兄に口付けられた頬を手の甲で拭い相手の言葉を待っていればまた猫がなぁんと甘えた声で鳴く。
「その猫どうしたんだ。御前にべったりじゃないか。家まで付いてくるんじゃないか?」
( 軽く顎でしゃくって猫を指し少し話題を変えればしゃがんで猫を撫でようとする。
するとシャーと威嚇されて「…うわ、嫌われてる。」とやや表情を顰めて手を引っ込めて。)
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