主 2023-02-11 00:33:03 |
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(集まって来た子供達の存在に、令嬢の事を忘れかけていた所。
一人の少年が『あ!菊先生!先生もこっち来て遊ぼうよー!』と声を上げた事で相手の存在に気付く。
子供達を下ろし、「先生と大事な話があるから。」と伝えては、ぱたぱたと走り去って行く子供達を見送り相手の元へと向かう。
己の素直な感情に気付いた今、こうして面と向かって話をするのは何とも言えない気持ちになり視線は逸らしたままで。
「令嬢との話は済んだのか?…付き添いで来たんだが、お役御免だったみたいだな。」
短い言葉を交わしては、何故か案内されるがままに室内へと上がって。
(再び二人だけになった娘と令嬢だが、先程までの気不味い雰囲気は全く無くお茶菓子を摘みながら会話に花を咲かせていた所。
『今更だけど名前聞いてなかった。私は千代。』
『本当に今更ね。美代(ミヨ)って言うの。名前で呼び合うお友達なんていなかったから。好きに呼んで頂戴。』
『偶々なんでしょうけど、名前似てるのね。分かった!遠慮無く美代って呼ばせてもらうから。』
『ええ。でも一つだけ。私貴女より年上だから。私年齢的には先生とそんなに変わらない筈。』
にっこりと笑顔で言う令嬢に娘は驚いた様に『え、見えない。何か…先生の方が大人っぽい。美代って幼いっていうか子供っぽいっていうか、』と素直にな気持ちを溢す。
娘の様子に『あのね、素直過ぎるのも毒よ。』なんて受け答え眉間に皺を寄せるも、揶揄い合う様な会話も楽しそうで。
娘は相手が中々戻って来ない事に気付き一度部屋を後にするも、廊下を曲がった所でばったりと鉢合い。
『あ、戻って来たのね。良かった。』
娘は慣れた様子で相手の隣に肩を並べ話を始める。
二人の一歩後ろを着いて行きながら、仲良さそうな二人の様子に面白くない感情が湧き上がる。
改めて見れば、丁度良い身長差。
何処と無く騒がしい娘に落ち着いている相手。
認めたくはないが、お似合いだった。
無意識に足を止めてしまっていた所、『霧ヶ崎さん?早く早く。』と己を呼ぶ娘の声にはっとし、「悪い。」と短く返事をしては部屋へと入り。
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