主 2023-02-11 00:33:03 |
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(あの後、孤児荘へ到着しては碌に睡眠を取っていなかったであろう年長の子供達が抱き付いて来る。
自分はもう大丈夫ある事を伝え、皆に遅めの睡眠を取る様に諭しては自分は真っ直ぐ貴人の家へと向かい。
令嬢に昨日の出来事を正直に伝え、明日の夜にまた来ると伝えては再び孤児荘へと戻る。
玄関口へと辿り着いた其の時、大名の従者が立っている事に気付き文を受け取れば何とも己に都合の良い様な内容で相手が手を回してくれた事が容易に想像出来て。
相手がどんな手を使ったのかは想像もつかないが、文を渡すなり逃げる様に去って行った従者には聞ける様子も無く。
(いつもと変わらない日常を過ごし、時刻はあっという間に夜。
相手との約束は深夜だったが胸の内の不安感が拭えず早目に丘へと訪れる。
何かが思い出せそうで思い出せないというもどかしさの中、相手の名前を思い浮かべては己の着物に刺繍された菊の模様を見詰める。
此の服は自分が買った物では無いしいつから着ていたのかすら思い出せないが、故郷から逃げ出した際に唯一持って来ていた物なのだろうと簡潔させる。
___刹那、またあの頭痛が襲い掛かる。
銀髪の男がいるのは、呉服屋だろうか。
沢山の着物に囲まれる店内にて銀髪の男は黒い着物を店主であろう女に差し出す。
『-菊先生の事は、同情するわ。でも貴方が背負う事じゃ無いと思うんだけど。-』
「-いや、俺の所為だ。…何でも良い、彼奴の証が欲しいんだ。-」
『-証、ね。いつまでも落ち込んでる貴方を菊先生は望んでると思う?…其れにもう少しで孤児荘の女の子の祝言でしょ?-』
切な気な表情をする銀髪の男に差し出された一枚の紙には己の着物に刺繍されている菊の絵があった。
「-此れで頼むよ。あんたに頼んで正解だった。-』
段々と頭痛が治まる。其の頃にはもう何も頭の中には流れ込んで来なくなっていた。
肩の刺繍をぐ、と掴んではやはり相手と自分には何かあると。
時刻は既に深夜。大木に身体を預けては月を見上げ煙管を燻らせていて。
(少しうたた寝をしていたのだと気付いたのは早朝、相手は来なかった様で。
相手の能力も其の代償も露知らず、何かあったのではと足を急がせるは寺子屋。
まだ寝ているであろう時刻という事も気にせず扉を叩いてはまだ眠そうな相手の姿が見えるなり「無事だったんなら、一言あっても良かったろうが。」と不機嫌な様子で言い。
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