主 2023-02-11 00:33:03 |
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( 相手が上手く令嬢との営みを躱しただけでなく丸め込んだことはいざ知らず、己は管理主の元へ付いたところ。
然し管理主も口が堅い。やはり一筋縄では口を割ってはくれず、気は進まないが能力を使うことにする。
管理主に迫るふりをして腕を掴み記憶を読めば、脳内には数日前相手が少女を救うため管理主と交わした依頼や花街でした見世物の情景が流れ込んできて。
「……嫌な予感はしてたんだ。」
『なんだ。…俺は何も話さないぞ。』
「ああ、そうみたいだな。その口の堅さは買う。…無理に聞き出そうとして悪かった。今後も依頼の時は頼むよ。」
( 用済みとばかりに諦めたフリをしてふらりと後退すれば管理主の元を後にする。重たい足取りで裏路地に入れば外壁に凭れて片手で額を抑えて。
一言でやり辛すぎる。相手は裏の人間で気に食わないところが多々あるが恐らく子どもに真摯に向き合い優しいのは真。狼男が相手である事実は驚きではあるが、己にとっては些細なこと。だが、狼男が相手である以上、大名の元へ突き出さなければならない。
素知らぬ振りでもしてしまおうかと考えた時、丁度悩みの種である相手が路地を通り過ぎていくのが見えて。
無視すれば良いものを自然と体が動き相手の後を追えば後ろからその手を掴んで振り向かせ。
「ちょっと、来い。」
( ぐいッとそれなりにある腕力で腕を引き先程までいた路地裏へと戻れば、ひとまず腕を袂に通して手出しする気はない呈示をし
「大名がお前を狙ってる。この前特殊な鎮静剤を売った。怪しい奴が近づいてきたら気をつけたほうがいい。」
藪から棒に己自身何を口走っているのかと思うが淡々とした音色で大名が何故相手を狙っているかは伏せて無表情に告げる。
何となく居心地が悪さを感じつつふと相手の襟の紅に気がついて。
「…令嬢とお楽しみでもしてきたか?子どもたちに会う前に“それ”はどうにかしたほうがいいと思うぞ。あと匂いも。」
( 己が令嬢に働きかけたことは懲りずにしらばくれ、“それ”と片手を出して襟元を指差し先の無表情はいずこへか掴みどころのない笑みを浮かべる。そしてスッと相手との距離を詰めて黒い布を顎下迄下げると首元の匂いを嗅ぐ素振りをし「牡丹の香りだ。」と最初出会った時の仕返しではないが小さく口端を上げて。)
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