主 2023-02-11 00:33:03 |
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(妖艶な表情で頬を撫でられれば、其の手は冷えた為かひんやりと冷たく、相手の揶揄いが何故かまた勘に触り。
_あんたみたいな生意気な男は好みじゃ無いんだ。“顔だけ”ってのはあんたの為にあるような言葉だな。まぁ、本気で惚れた相手にはもっと上手くやるさ。
(所詮己もまだ“子供”なのか、腹立った気持ちを隠すように相手を見下しいつもの馬鹿にした様な表情で言い放ち。
「今夜は空いてるぜ。何だよ、先生の方こそ俺を誘いたかったのか?」と皮肉を混ぜるかの様に此処で相手をあえて“先生”呼びにして。
寺子屋の子供達と『また遊ぼうね!』と約束をしている少年少女達を呼び戻しては相手への怪しさが拭えないまま其の場を後にして。
(時刻は夜、久し振りに依頼は入っておらず縁側にて月を見上げながら煙管を燻らせる。
殆ど手入れの必要ない己の刀は妖刀と呼ばれており、人の生き血を吸って切れ味に磨きがかかる仕組み。
綺麗に拭き上げた後、刀を鞘に収めては明日の依頼の内容が記されている紙を見詰める。
依頼相手は先日の貴人の娘である令嬢直々からの物。
内容は街で見掛けた男に一目惚れをしたので其の男を一晩買いたいとの事。
金に物を言わせようとする所が、さすがあの男の娘と言ったところかと内心悪態を付く。
しかし、一目惚れをしたとやらの男の特徴を見ては目を見開く。
“艶やかな長髪で切長の瞳、寺子屋の先生をしている”
大きな溜息を漏らしては今一番関わりたくない相手が対象である事に絶望し、依頼の紙を燃やす。
相手と自分は面識がある故に仕事上では関わる事が困難なのだ。
しかし流石は貴人の令嬢、報酬はかなりの額。
どう相手を引き出そうかと頭を悩ませつつ自分の寝所へと入る。
まさか今頃相手が孤児荘の少女を狙っているなどとは分かる由もなく、そのまま瞳を閉じて。
(深夜、カタリ、とした小さな物音に目を覚ましてはまた鼠が入り込んだかと。
聴力と嗅覚は常人の何倍にも感じ取れ易い為、こういった無駄な物音でも目を覚ましてしまう。
台所に行っては水を飲み干し再び自室へと戻る。
僅かにはだけた寝巻きからは幼き頃の凄惨な出来事を物語るような傷痕が大量に残っており、寝巻きを治しては再び寝床へと着いて。
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