主 2023-02-11 00:33:03 |
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ああ、偶然だね。…お兄さんも子どもたちをお団子を買いに?
( 甘味処へ近づいた時、店内から出てきた人影に小さく目を見開く。
子どもたちが先に走っていくのに助けられて後に付いていき、ふと少年少女を見る相手の表情が目に付けば、こんな顔もできるのだと意外に思い。かと思えば次には少々ぶっきら棒なご挨拶。昨夜の相手の姿と重なり、やはり他人の空似でも無ければ同一人物であることに違いないだろうと。
子ども達の笑顔を見てると癒やされるよね。…ああ、お兄さんもまだ子どもと言えば子どもか。
( 隣に座って良い?と問いかけながら返事を待たずに拳3つ分ほど開けて腰掛け、少女の三つ編みを『かわいいね。』と頬を染めて褒める少年の微笑ましい光景に双眸を細める。
煙管を燻らす姿が絵になる横顔を見遣り、また1つ揶揄ってやれば店内から聞こえる黄色い声。
『ねぇ、あの背の高い殿方、少し冷たい雰囲気がとても素敵だと思わない?』
『本当、素敵。…あの方が今噂になってる化物を退治してくれたら最高よね。』
『化物…、ここだけの話、実は私の父さんが昔にも見たって言ってたわ。同じ化物かわからないけれど怖いわよね。』
そんな若い町娘の会話。後半は声量を抑えていたが何となく聞き取れて。
「色男は仕事が多くて大変だ。…お兄さんはどう思う?あの噂。」
つい茶化しをいれてからりと笑い、今宵の依頼のこともあるし相手の人柄をもう少し知っておこうかとまさか噂の当人とは思わず、少し顔を覗き込むようにして聞いてみて。)
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