主 2023-02-11 00:33:03 |
通報 |
( 翌朝、己は酒に飲まれ昨晩のうちに帰宅するつもりが兄の住まいで寝落ちしてしまい。窓の面格子から差し込む朝日で目が覚め、いつの間にか寝かされていた布団から上半を起こすも脳内を刺すような痛みと気分の悪さに眉間に皺を寄せて額を押さえて。
『あ、おはよー。目醒めた?御免ね、ちょっと飲ませすぎちゃったね。あのお酒すごく口当たりが良くて飲みやすいんだけど結構強くてさ、別名酒豪泣かせって言われてるんだ。あ、二日酔い醒ましの生姜湯飲む?』
「__燐、昨日何か言ってたか?」
( 襖が開きお盆を手に入ってきた兄、いつもの明るい兄だがぼんやりと昨夜の記憶が残っていて物憂げな表情が重なり、生姜湯が入った湯呑を小声で礼を言いながら受け取って問いかける。
『えー、何か言ってたかな?』
「…そうやって茶化して誤魔化してるとまた誤解が解けないのが続くぞ。」
『わー、朝から辛辣。っていうかまたって何さ。』
「…確かに、なんでまたなんて思ったんだろうな。__生姜湯ご馳走様。寺子屋もあるしそろそろお暇するよ。仕立て屋も満足しただろ。」
『だね、今頃張り切って着物を仕立ててくれてるんじゃないかな。あ、寺子屋まで送ってく。』
( 子供じゃないから良いと断ったが付いてくる兄は好きにさせ、重たい身体を奮い立たせて外へ出る。
道中考えるのは相手のこと。誤魔化しているのは己も同じじゃないかと胸中嘆息を零し、さっさと相手に本当のことを報告しようと。
「…途中で団子買って帰ろう。」
『何、昨日の話やっぱり聞こえてたの?』
「孤児荘に、持ってってくれ。」
『…えー。』
( 嫌そうな顔をする兄に団子屋で買った団子を押し付け、団子屋でも兄と己の恋仲噂が浸透していて冷やかされたため此方の噂も早い所沈下せねばと思いながらひとまず兄と共に寺子屋へ向かって。
( 一方、孤児荘。
女性は相手と共に孤児荘へ行き夜まで居てもう一度寺子屋へ足を運んだが当然門は仕舞ったまま。
宿を探すつもりで居たが夜に女一人で宿に泊まるのも危険ということで孤児荘へ再び戻り一泊することに。
子どもたちとも直ぐに打ち解け風呂や寝支度などを手伝い子どもたちと同じ布団で雑魚寝した。
そして朝、女性は早朝から朝当番の子どもたちと共に炊事場に立って朝餉作りを。
着物をたすき掛けして己と同じ藍色の髪を目立たない簪で結い上げ、慣れない場所でも手際が良く焼き魚や味噌汁を調理していき。
『お姉さん料理上手だねー。』
『ふふ、ありがとう。でもドジなところあるから焦がしたり入れるもの間違えちゃったりするのよ。……ねえ此処のお兄さんと寺子屋の先生の関係って聞いてたりする?』
『爛兄さんと先生?…お話してるのは見かけるよ?』
『…そっか、そうよね。変なこと聞いてごめんね。』
( 女性は眉を下げて笑いながら鍋の中の味噌汁をゆっくりかき回していて。)
トピック検索 |