息づく閑居　／　〆　

──ああ、来たか。

まずは僕のpfを確認してくれ。君の言う通り何か手違いがあれば面倒だからな。苦手な部分の変更や、追加の要望も聞けないことはない。勿論限度はあるが。…まぁ言うだけならタダだ。何かあれば言ってみな。

菱形 庵（　ひしがた いおり　）／ 男 ／ ２７歳 ／ 陶芸家 ／ 肩に掛かる程度まで伸ばしっぱなしの黒髪 ／ 切れ長の瞳 ／ 血色感の乏しい白肌 ／ 身長183cm ／ 細身でありつつもそこそこ筋肉質 ／ 男性らしく骨張っていながらもすらりとした綺麗な手 ／ 家に居る時は甚平か和装 ／ 洋服を着るのは外出の用がある時のみ ／
愛想ゼロの仏頂面 ／ 職人気質 ／ 浮世離れした雰囲気 ／ 性格が捻じ曲がっている ／ 不器用で繊細 ／ 人嫌いのくせに何だかんだと面倒見が良い ／ 義理堅い ／ 一度懐に入れれば深い愛情を注ぐ ／
陶芸一本で生計を立てているプロ ／ 丁寧で繊細な仕事振りは『神の手』と称され、作品は高値で取引されている ／ 都心から少し外れた閑静な日本家屋に住まう ／ エアコン、洗濯機、冷蔵庫、テレビ他、家電は一揃えあり中は結構快適 ／ 縁側から望める立派な坪庭があるも、今は何も植えておらず殺風景 ／ 隣にアトリエ併設 ／ 両親は既に他界し、兄弟もなく天涯孤独の身 ／ 一人称は（特に変えようと思ったことがないため）幼少期から一貫して「僕」 ／ 当面は「家政婦」呼び ／ 給金は手渡し

開始時点やらやり取りの方向性やらについても異論はない。…あと決めることといえば、ロルの長さくらいか？　君としてはこんな調子で続けて行くのと、一度仕切り直して短～中程度の文章としてのロルを回すのだったら、どちらが好みだ。

部屋、ありがとうございます。（　ひょこっと顔を出し　）

pfの確認ですけど、…はい。こちらからは特に問題ありません。先生がひねくれ者なのは重々承知の上での応募ですし、私も私でこの通りですから。あ、先生のほうから、生意気言うのを減らせーとかあれば…――善処します。
私のほうも、あちらでお見せしたのと同じですがpfを載せておきますね。

雛木 奏絵（　ひなき かなえ　）／ 女 ／ ２５歳 ／ 家政婦 ／ 染められた茶髪のショートボブ ／ つり目 ／ 暗い茶色の瞳 ／ 日に焼けていない肌色 ／ 身長165cm ／ 平均的な体型、肉が付きやすいのが悩み ／ シャツにパンツスタイルといったシンプルな服装 ／ かわいらしい服はほとんど持っていない ／
反骨精神旺盛 ／ 根が真面目 ／ 実用性重視 ／ 感情的になると思ったことが言動に出やすい ／ 静かだと落ち着かず何かと仕事をしがち ／ 他人からの好意が苦手 ／
前職を辞め、様々な伝手を経由して住み込み家政婦の仕事へ ／ 家政婦の仕事自体はほぼ経験なし ／ 一人で暮らしていたため家事はそこそこ ／ 今までが仕事一辺倒だったためか無趣味、自分でも趣味嗜好はあやふや ／ 殊更芸術関連への理解に乏しく、曰く「全部一緒に見える」 ／ 物を雑に扱いはしないが、値打ちものと安価なものを平気で横に並べる ／ 自分の持ち物は最小限 ／ 一人称は「私」

ロルは長すぎるものより、テンポよく短～中ぐらいで回すのが好みです。といっても、長いロルもできなくはないのでその辺りは臨機応変にできれば。それから、相談事やちょっとした雑談はこの調子で大丈夫ですけど、色々と混ざっちゃいそうで。一度仕切り直しでロルを回していただいても構いませんか？

善処という言葉は大抵改善する気のない人間が使うものだが──まぁいい。君と話してみて気になるところも特段無いし、その減らず口も黙しておいて〝察せ〟なんて言う奴等よりは気持ちが良いんじゃないか？（　軽く肩竦め　）
それじゃあ一旦仕切り直しとするから、こっちへの返事は以降不要だ。僕は暫くアトリエに篭る。…が、何かあった際は呼べばすぐに戻る。変な遠慮はするなよ。

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（　呼び鈴の音に溜め息を吐いて、のろのろと立ち上がる。この家への来客といえば、何かの勧誘か美術商か記者か、はたまたその他の礼儀を知らぬ者達か。しかし玄関の引き戸を開けた先に居た人物はそのどれにも当たらぬようで、頭のてっぺんから爪先までを視線で辿ると、思い当たった一つを口に出し　）
…君が頼んでいた家政婦か？

う、出来るか分からないことを口にするのは気が進まなくって…（　えへ　／　目逸らし　）
仕切り直し、ありがとうございます。私も何かあればすぐ飛んでいきますから呼んでくださいね。…それでは、また後程。

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（　手で軽く前髪を整えながら、最低限の荷物を詰め込んだ鞄とトランクケースを手元に引き寄せて、落ち着くために深く息を吐き。程無くして開いた戸に姿勢を正すも、現れた人物からの品定めするような視線に気圧されて少し口元を引きつらせ　）
え、ええ、はい。…あなたが菱形先生でお間違いなければ。

話は聞いている。
（　表札も出していなければ名乗ることすらせずに「へぇ」と不躾な視線を寄越した後、たった一言で初対面で時の煩雑なやり取りを割愛。家の中へと招き入れるように引き戸をまた少し開くと、彼女の手元にある荷物に目を留めて　）
…荷物はそれだけか？

はあ、まあ…必要なものは持ってきていますけど、これだけです。
（　想像していたような和やかな挨拶や自己紹介はなく、寄越されたのは簡素な言葉とこちらを伺う視線。先に受けていた説明から、身元のしっかりした陶芸家の先生ということは分かっていてもそれはそれ、何となく漠然とした不信感が湧き上がる。引き戸の奥へちらと視線を向けながらも足は動かさず、ついむっとした表情で突っかかるような言葉が口を衝いて　）
…なにか？

…なにか？
（　返答を聞くや否や身を翻して奥へと引っ込みかけたところへ、僅かに尖った声が背に掛かれば振り返り。問いの意図が分からないとでも言いたげに相手の言葉を反復するも、一拍置いて想像力を働かせてみてはそれに沿って返答して　）
他にも荷物があったり後から届くようであれば聞いておこうと思っただけだ。いつまでも玄関でガタガタやられちゃ迷惑だからな。

な、ななな…っ！――それはこちらも気が回りませんで、すみませんでし、た！
（　先に余計なことを口走ったのは自分な上に相手の懸念は尤も。なにもそんな言い方しなくてもと続きそうになる言葉をどうにか飲み込むと、荷物を引っ掴んで大股で敷居を跨ぎ。玄関の中を見回せば幾らか平静を取り戻したのか、声のトーンも落ち着いたもので　）
…うわあ、随分とご立派なお宅ですね。それに、なんだか…静か。

一人暮らしの家ならこんなもんじゃないか？…まぁ、君は一人で暮らしていても賑やかそうだが。
（　素直な謝罪を受けると、早くも感じた他人と関わることへの煩わしさを憚りなく溜め息に代えて洩らし。相手が中へと足を踏み入れたのを確認しては、外との交流を拒絶するかのように戸を施錠。相手の呟きを最後にしんと静まり返った空間へ厭味たらしい言葉を残せば、さっさと履き物を脱いで廊下を進み　）
君の部屋はこっちだ。

っふ、あはは、じゃあ、これからは賑やかになっちゃいますね。
（　一人でも賑やかそう、と評されてパチリと瞬きを一つ――そんな風に言われたのは初めてだ。確かに静かにしているほうではないし、相手と対面してから騒がしくしていた自覚はある。何となしに可笑しい気持ちになり気が抜けたのか、吹き出た笑いと共にへらりと表情が緩み。素早く次の行動へ移った相手を見て、慌てて返事をしつつ靴を脱いで端に揃え、置いていかれないように早足で背を追いかけて　）
――あっ、はい！

…変な奴だな、君は。
（　厭味のつもりが相手から想定外の反応が返れば、分かりやすく眉を顰めて〝不可解〟と顔に書く。しかしそれ以上理解を深める気は無いようで、大きなカテゴリに彼女を放り込んでは会話を終了させ。廊下を進んだ先の空室は、箪笥と棚と布団一式が置かれた八畳程の簡素な部屋。取り敢えずの生活には事足りるとしても、姿見や化粧台が置かれていない辺りは、家主の見てくれに無頓着な一面を浮かび上がらせるだろうか。その奥の開け放たれた押入れの中には、出版社から送られてきた自身の取材記事や贈答品、学習用の書籍等の姿が覗いていて　）
以前は物置として使用していたから多少僕の私物も残っているが…、まぁその荷物の量なら問題ないだろう。

わあ、結構広いですね！
（　案内されてついた先の部屋は、物は少ないながら思い描いていたよりも上等なもので、素直に感嘆の声を上げ。荷物を部屋の端に置いてぐるりと部屋の中を歩き、置かれている物を簡単に確認して回る。すぐには思いつかないけれど、他に必要なものが出てきたら自分で買い足そう。元よりそのつもりの小荷物だし。一通り家具の確認を終えると、中身の入った押し入れに目が向く。相手の言う私物とは恐らくこれのことだろうと思い至り、好奇心からそのうちの一つに手を伸ばすと、それはどうやら取材記事のようで。軽く内容を読むと感心したように呟いて　）
はー、本当に陶芸家の先生なんですね…。

（　空室へと案内し終えると、部屋への感想は殆ど聞き流す形でゆるりと腕を組みつつ入口の木枠に身を預ける。初めて自分の部屋を手に入れた子どもか、新居にマーキングして回る猫か。部屋のあちこちに目を留めながらぐるりと一周する相手をそんな心持ちで眺めていると、彼女がふと手を伸ばしたのは一冊の雑誌。そんなもの読んでいる暇かと苦言を呈そうとしたところで聞き捨てならない言葉が飛び出せば、相も変わらず木枠に寄り掛かったまま部屋の入口からやや低い声で問い　）
…何だ、疑っていたのか？

え？…あ！別にそんな、疑ってたとかじゃなくてですね…！
（　耳に届いた声色は、怒っているのか呆れているのか、先ほどまでよりも少し低いように感じられ。目を通していた雑誌から顔を上げ声の主のほうへ顔を向けて、一拍の間をおいて弾かれたように弁明を。読んでいた雑誌は急いで閉じて元の場所へと戻して、体ごと相手のほうへ向き直ると視線を宙に逸らし、しどろもどろに告げて　）
ああ～…、その、私には陶芸って身近じゃなくって…正直先生と言われてもあんまりピンと来てなかったといいますか…。

…ふぅん。
（　最初こそ半信半疑といった眼差しを投げ掛けていたものの、じきに世間一般の人間は自身が向けるそれ程は陶芸に関心を持たないことを思い出せば、僅かに声を消沈させつつも了解したようで。漸く木枠から身を離し、一度窓の外へと目を遣ると、ふと素直な感想を零し　）
それでよくこんな所まで来る気になったな。

それは、…仕事を探していたので。
（　てっきり先ほどまで飛んできていたような嫌味っぽい言葉を投げかけられるとばかり。落胆しているように見える相手に目を丸くし、ぽろりと口から出たのはここへ来るに至った正直な理由で。つられるように窓の外に視線を遣り、どこか乾いた笑いと共に問い掛けて　）
少しは興味を持ってる人のほうが良かったですか？

君は家政婦だ。家事と、来客と電話の応対だけこなせれば問題ない。
（　自身と相手の間に線を引くように、あるいは自身に再認識させるように、問いに対して人間らしい情に欠ける答を返せばふっと目を伏せる。ビジネスパートナーならいざ知らず、家政婦にまで相応の知識と審美眼を求めるのはお門違いというものだろう。身を翻して木枠に手を掛けると、如何にも人嫌いといった台詞を吐き、次の場所へと足を向けて　）
下手に仕事の邪魔をされてもかなわないしな。――さぁ、気が済んだなら次に行くぞ。

そうですか、…よかった。
（　ふ、と息を吐き安堵した表情を浮かべ。もしも、陶芸に興味を持てと言われていたら投げ出すのは自分が先か、相手が先か。どうも芸術的な視点で物事を考えるのが苦手で、最低限見た目や機能が奇抜でなくて実用的であれば、どれも同じに見えてしまうような始末。生来こんな感性で生きてきたものだから、相手の言葉は冷たいようにも思えるけれど、簡潔で話が早く、自分にとっても都合の良いもので。次の場所へ向かう相手の背を追いつつ　）
――はい、案内よろしくお願いします。

ここが手洗い、こっちが洗面所、風呂――
（　廊下を先導して歩き、その道中視線さえ向けないまま両脇に現れる扉に触れては位置関係だけを次々と明確にして。最後に突き当たりで足を止めれば、そこは自分なりの秩序はあれど、傍目には食器や調理器具、食材、家電が乱雑に置かれた場所で　）
…で、ここが台所だ。

（　告げられた場所に視線を向けている間にもう次の場所を告げられ、中を見て確認するのは後にしようと切り替えれば、ちらりと扉を眺めるだけに留めて後を付いていき。最後に案内された場所で同じように足を止め、顔の向きを変えて視認できる範囲を確認し　）
わあ。…あの、お聞きしたいんですけど物の配置には拘りがおありで？