とくめい 2023-02-01 15:49:08 |
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【 真冬 】
「───…危ない所であったな。大事ないか?」
( 探し物を取り戻した姉の安堵した顔に胸を撫で下ろし、後は慎重に降りるだけだと見守っていた最中の事だった。劣化していた脚立の一部が脆く崩れ、体が投げ出される姉、そして弾かれるように飛び出した資源。降り落ちてくるのではと咄嗟に身を低くし、落ちてきそうな己が姉妹を受け止めようと両腕を必死に伸ばし───ひらり、室内を優しく舞い視界を遮る桜花弁とその光の眩さに目を瞑った。一体何が起こったのか、浮遊感を覚えて再度目蓋を持ち上げれば本丸では見覚えの無い青年がふたり。姉妹を抱えて状況を抜け出した彼らの姿にゆっくりと目を瞬かせ、それぞれ安否確認する声を耳に首を傾げる。自分達が現代に戻っている間に上の姉達が顕現させたのか、今し方生じた光と何か関係があるのか。不思議な様子で雰囲気の異なる二振りの琥珀色を交互に見詰め。鳥子色の彼はふわふわと柔らかそうで薄緑色の彼はとても真面目そう、だなんて内心で呟く。こうして観察したり思考する沈黙の時間が物静かと印象持たれる所以だとは露知らず、十分にテンポを遅らせ漸く口を開きながら姉を見遣り )
………ふたりは、新しい子かな。助けてくれてありがとう。んーと、わたしは大丈夫。あきちゃんはどう?
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