影原 詩乃(主) 2023-01-21 00:47:21 |
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(――『もう嫌だッッ!!なんでここまで僕に優しくしてくれないんだ、なんで僕は一人で戦い続けなきゃいけないんだ、なんで、なんでッ……』――僕を、この残酷な運命を託したの、か。そんな自暴自棄な考えが頭を支配して止まない。NERV本部から呼び出しをくらって、そして本格的に追放されて、今僕は、S-DATのイヤホンを両耳に付けて、綺羅びやかな第3新東京市の夜の街を歩いている。イヤホン越しにも男性や女性の入り混じった声、チリンチリン、とベルの鳴る音…それら雑音が聴こえてくる。もう、こんな場所でさえ消え入ってしまいたい。だがその願いが通じたのか、夜の街の人々は僕に声を掛けてくる事はなくって……と、思っていたが。)
『なぁにぃ?君一人かな?』『危ないぞ~そんなふらふらしちゃって』
(複数人の若い男女が目の前に立ちはだかっていた。イヤホンは外さないままに、僕は無言を貫き通す。)
『え~その制服第一中の?あは、夜遊びかぁ?』『というかそのイヤホン筈そうぜ、聞けよ~』『可愛い顔立ちしてんじゃん、え~男の子じゃないみたい!』『この子も連れてく?』『『あっ賛成~!』』
(もう真顔で、無言で貫き通すのもしんどくなってきた、それに、なんだか僕もその汚らわしい集団に連れて行かされる流れになっているのも目に見えてきた。そして、"嫌な予感"が本当になったのは――)
『ちょっとお兄さんお姉さんと良いことしよう――なッ!』
(勢いよく、大柄な男性により僕の右腕が引っ張られた時だった―――刹那。かちり、と…何かが切り替わる音がする。視界が真っ白になって、気分が動転した。)
(――燦々と照りつける太陽の光が僕の閉じた眼を貫く。イヤホンは取れていたのかS-DATの音声は聴こえない、その代わりちゅん、ちゅんと…何かの生き物の鳴き声が聞こえる。仰向けで寝てしまっていたらしく、頭や背中はじんじんと痛んだ。僕は死んでしまったのだろうか。でも…この感覚からして生きているんだろう。ここはどこだろう、と目をゆっくりと開く。)
「ん……えッ、…も……」
(久々に声を出したみたいに、なかなか自分の見たものは言葉には表せなかった。森。木が沢山生い茂っていて、先程の夜の街の風景はどこへやら、自然が広がっている。全体的に風景はぽかぽかとしていて、暖かい感覚がする。むくり、と身を起こして、立ち上がった。)
「…森、だよな……ここどこなんだろう…」
(全く知らない場所に連れて来られてしまったらしい。先程まで見た複数の男女は居なかったから、ますます状況が掴めやしない。ここが俗に言う"異世界"…なんだろうか。辺りをゆっくりと見回すままに、僕はこの森から第一歩を踏み出してみるのだった。)
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