親は…、ここにはいない、 (キッチンに向かった彼へ言う。親はいない。兄弟もなし。自立する年になったら自然と合う回数も減るもので。懐かしい、なんて考えながら、嫌いなものは無いと告げる。正直、どれも同じ味。お腹は少し膨れる。でも、彼のその優しさに肖って、言わないことにした。機嫌を損ねたくないし、出してくれるだけでも感謝しなければ。ありがと、なんて伝えて、キッチンから戻る彼を待った。)