美容師 2022-12-21 22:25:32 |
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差し出された手を暫しじぃっと見つめてしまう。ここで自然に手を繋げればよいのだろうが気のいい人間のように軽々しく肩を組んだりというようなことをやってきてはいないので己にとって他人と接触するようなことはそう易々とできるものではない。決して伊風と手を繋ぐのが嫌というわけではなく、俺が勝手に緊張してしまうのだ。あれだけ少年と伊風の手繋ぎにモヤモヤしていたというのにおかしな話だ。
ギュッと一度膝の上で拳を握ってから覚悟を決めるとその手に手を伸ばして握り、連れ立って立ち上がる。手の平に伝わる俺より低い体温を感じながら温めるように少しだけ力を込めて
「そうだな。好きな所選べよ、礼に奢る」
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