不器用な君が愛おしい　　〆

（　彼は流石の手際の良さで迷子の届け出を済ませていて、それを隣で眺めているとどうやら手続きが終わったようで。一言残してさっさと離れてしまった彼を目で追いながらも少年を抱いたまま、どうすっかな…と立ち尽くした。寂しそうな表情のままの少年に不安そうにきゅ…と首に腕を回されてしまえば、折角久し振りのデート中だからとセンターに預けておしまいという訳にもいかまい。そう思っていると少年にちょんちょんと抱いている腕をつつかれ、控えめに声をかけられた　）

　稔～、この子が助けてくれたこと御礼言いたいって

（　待機所の職員に許可を取ってから少し離れた場所で座る彼の隣に少年を座らせ、更にその隣に自分も腰を下ろすと、にッと笑ってそう彼に声を掛けた。ほら、と少年に促せば小さな声で控えめながらに真っ直ぐと「ありがとう」と稔に向かって。不器用ながらに素直な少年と稔はどこか似ているような気がして、うんうんと頷きながら微笑ましくその様子を見守り、「じゃあお父さんとお母さん来るまでお兄さんたちと待ってるか～！」と提案し　）