名無しさん 2022-12-02 18:14:09 |
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( そうだ、何も考えてなかった…。夢心地の今朝から大好きな彼と通じ合えてしまった喜びに俺は浮かれてばかりで、昨日までは慎重に注意を払っていた“最悪の事態”なんて頭からすっぽり抜けてしまっていた。キョトンとあほ面を見せる訪客を なんでもない… とでもいうように軽く首を振って見せ、背中から聞こえた案外落ち着いた返答に安堵する間もなく心臓はばくばくと激しく鳴り続ける。一連の会話が終わり、後は何事もなくこの部屋を去ってくれればセーフ。ホシヒョンのことだ、今は違和感に気づかなくても後から気づくかもしれないが。兎にも角にもこの瞬間が早く過ぎ去ってくれればいい…!チェバル…!!と祈るのも束の間、新たに聞こえた足音に再度降りかかる絶望…。顔を出したのはよりによっての彼だ。13人もいる宿舎で常日頃何処かしらで起きる喧嘩やいざこざを早々に鎮めるべく現場によく現れる彼のこと。火種は小さい内に消しておいた方がいいからな…今は余計なお世話だけれど…。いやに時計の秒針を刻む音が静寂の部屋に響く。原因を知るまで戻るつもりは無いんだろうスンチョリヒョンから発された、俺には出来ない呼び方でハニヒョンを呼ぶ声。相当場違いだとは思うけど俺は昨日までのことを思い出していた。ハニヒョンと同ラインのヒョン達が親しく絡む様子を見るのが苦だったこと。きっとそれ以上の関係になれた今も彼らに存在してる絆は深いもので、俺も同じく。この国では同ラインかそうでないかで友達の関係に成り上がれるかが決まってしまうから。…俺とハニヒョンとの時間を邪魔しないで、なんて。相当場違いな不満を脳内に広げながら地味に痛い腕を擦り、手首を隠すように袖を引っ張った。そんな思考をも現実へと引き戻す彼の手がそっと自身の頭に触れて、さりげなく確認したかった表情を見るべく軽く振り返った…途端に合う目。今は見つめ合う余裕もない。「 えぇい、ひょんったら突き飛ばすんだもん せっかくいいところだったのにぃ~。 」ドア付近の来客に何度か視線を送りながら咄嗟に彼のせいにして逃れる。…後で怒られるかもしれない。肩を竦めて大きい図体の割にやはりどこか自信なさげだが、苦し紛れの言い訳でも問題はないと察したのか案外あっさりと退散していった姿。…パタン。ドアの閉まる音を最後に二人きりの空間に戻ると彼らがしっかり離れたことを耳で確認して。後ろの彼の方を無言で見遣り、アイコンタクトを交わす。何とか無事に窮地を脱したとなれば襲ってくるのは疲労感。「 は~~っ、よかった~っ。まさか二人も来るなんて思ってもなかったよ... 」起こしかけていた体をへなへなと床に落とし腕を広げる。片手で前髪をかき上げつつ、エーンと泣きべそでもかくように顔をしわくちゃにして泣いた素振りを見せてはベッド上からの視線と絡み、困ったように苦笑い。外の日を多く受ける彼は相変わらず綺麗で、隅に追いやった愛しい気持ちを徐々に取り戻していきながら。「 はにひょんありがとう、助かったよ本当に。」俺じゃ聞き入れてすらもらえないかもしれない。取り繕ってくれた彼には感謝しないと。ぽつぽつと呟くけど、咄嗟に床へと転げ落ちるという痛い判断をした挙句 それが目をつけられ、結果彼に責任を押し付けるという最悪の二段構えに苦笑いは消せないまま。彼の様子を伺うように体を小さくして腕を擦りつつ… 「 みあねよ、...? 」ごくんと息を呑むとたどたどしく言葉を紡ぎながら緊張を走らせて。)
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