名無しさん 2022-12-02 18:14:09 |
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( 複数部屋が並ぶフロア、一人部屋の彼の元へ足を運ぶなんて昨日までは考えられなかったこと。もちろん訪れたことがない訳ではないが、今こうして一つのベッドに二人で寝転んでいるのを昨日の俺が知ったら失神しているかもしれない。なによりいちばん愛おしい君が、同じ意を込めた瞳だけを此方に覗かせる。胸がきゅんと締め付けられるような甘い言葉を紡いだ口元はパーカーの袖に隠れてしまって。ほんの少し触れただけなのに、とろんと溶けるような甘ったるい笑顔…ずるいよ。…っはぁ~~。可愛い…っ!“ だいすき ” なんて幼稚な想いが風船みたいに膨らんでいって、彼と視線を合わせる俺の目はきっとハートになってる。横幅ですら少し窮屈なベッドは、普段から斜めに寝るしかない俺にとってはもちろん縦幅が足りないのだけど、そんなことも今は気にならないくらいに彼しか見えない。単語の一つが発された瞬間 耳を澄ませてすぐ聞き入れる姿勢になると、……ふふっと漏れ出たのは微笑ましい笑み。俺が来るまでの間、気にしてくれてたのかな。後片付けなんていわば俺が好きでやってるだけなのに。心配してくれている彼の優しさが沁みると次に広がるのは愛おしい想い。「 んーん、したいからしたんだよ。けんちゃなよ~。いつものことでしょ? 」袖から自身の手へと重なった手、冷えていた訳でもないのに、彼の気持ちが沁みるようであたたかい。柔く揉んでくれる様子と視線を下へと落とす彼の目とを交互に見る表情はいかにも“幸せです”といった締りのない顔のまま。…だったのだけど。ふと何か考え込む様子にきょとんと眉を下げ、声を掛けようか迷った挙句 「 …ハニヒョン? 」 現実へ連れ戻すように名前を呼んだ。すると何を思ったのか手が離された途端に袖を捲られ、意図が読めずさらにきょとん。晒された腕に顔が寄せられたのは分かった、彼が新しく着替えたパーカーのフード越しに。然しあまりにも予想外で、慌てて伸ばした片手は彼のフードへと。顔が分かるように少し上げれば、次いでに何をしようとしてるかまで分かってしまって。「 ぁ…っ、い、」肌の上を生暖かい感触が這い、ぞくっと手首から全身に伝うように粟立つ。刹那走った甘い痛みに、思わず眉間に皺を寄せては…。「 は、ぁ?えっ、うぇー…、 」まだ少し熱を持った手首の下辺り。頭の中を疑問符が埋めつくしていきながら恐る恐る見れば…予想通りの赤黒さ。「 !?ご褒美だってぇ…?あに嬉しいけど…突然付けることないじゃん~!チンチャヨ?本当にやってくれるの?あ~俺腕も捲れないんじゃ…うう、バレたら責任とってくれるの?」初めての、愛してやまない彼からの所有痕。それはもう…ご褒美以上のものだけど。なんたってバレるかどうかのギリギリな所に付けるのは…やっぱり“ユンジョンハン”でしかない。…一体どうしたら。腕捲りの癖はかなりついてるし、このヒョンは家事をしたがらない。ということは…バレる可能性、大!それを目的に付けただなんて、言わないよね?あにじ、俺に全部任せてしまった責任を感じてのことかなって予想はついてるけど。相変わらず悪怯れる様子は微塵もないのに恨めしくないのはどうしてだろう。それ以上に好きが勝ってるからだな。と瞬時に解決したところで、じっ…と彼を見つめると。伸ばした片手で彼を抱き寄せて、より体温を感じられる距離に。好き勝手動く足を封じてやる、とでもいうように自身の足を絡ませるとすり、と肌を撫でて触れ合わせ、透き通るような茶の瞳から目を離せないまま静かに早まる鼓動を聞く。「 …ハニヒョン、 」なんだかんだ耳まで真っ赤にして。潤んだ瞳は変に火照ったせいだろうか。そっと指先から手のひらを彼の頬に這わせると、痕を付けてくれた赤い唇を親指でなぞっていく。「 ご褒美のほかにさ、俺がヒョンのものだって証くれない?… 」ヒョンからくれないなら、俺からあげようか。ねぇいい?なんて。思ったよりも頬の熱さを手のひらに感じると小さく口角を上げて。)
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