名無しさん 2022-12-02 18:14:09 |
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( 一瞬訪れた静寂は俺ら以外のもう一人がこの場から去ったのを確実にするためで、やっと肩の荷が下りて数分前よりも張っていた気は抜けるものの。今は隣の彼に全意識を集中させ、言葉だけじゃなく表情まで使って想いを伝えるのに必死だ。疑われるような変な行動は一つもしていないのにも関わらず、彼の気持ちがよく理解出来るからこそ真摯に彼と向き合って。とくとくと早めの鼓動を感じながら思い出す。俺自身、他のやつと居るハニヒョンを見る度に何度も不安に駆られて嫉妬心を抱いたもの。誰のものでもないヒョンを俺のものだって勝手な独占欲すら抱いてさ。俺が一番、ハニヒョンと俺としか知らない話をたくさんしたいし、二人だから面白いツボの合う話だとか、二人だけしか知らない景色をたくさん記憶に残したい。恋人という関係になった今だってその感情が無くなった訳ではなくて。彼が自分のものになったからこそ嫉妬心は敏感になりうると思う。不安に揺れる瞳を覗く綺麗な目が、些細な蟠りを解くようにふっと細められれば一気に胸に広がるあたたかい安堵。彼の気の抜けた声が何事もなく前に進めたことを暗示し、一瞬の時だったが張り詰めていた空気が和やかになる。心地いい笑い声を耳に苦笑いを浮かべて へなへな、とでもいうように背もたれに預ける体。「 …謝ることじゃないよ。ひょん、ヤキモチ焼いてくれたんだ。 」少し気を張ってしまったけど、当たり前の感情に謝る必要なんてないよ。むしろ気が休まって落ち着いて知ったのは “ハニヒョンが嫉妬してくれた” なんてちょっと気持ち悪いと思われてしまうかも、そんな喜ばしい感情だったから。何はともあれ彼の笑顔を見られて良かった。俺の不安を汲み取ってくれたのか、わざわざ謝ってくれるヒョンは優しいに越したことはない。満足気に改めて食事を再開しようとしたが、視界の端で動いた手を視線で追うと自身の太ももに乗せられるから。何度か瞬きを繰り返して、きっと後に続けられる言葉を待つ。_...ああ、本当にこのヒョンは。口を寄せるのが分かると、自然と彼の方へと顔を寄せて。こそばゆい吐息と囁かな愛しい声に肩を上げては。「 …ん~、たよなじぃ、こんな可愛いこと言う訳ないじゃん。」どうしようもなく愛おしくてたまらない、とくしゃくしゃに笑う。なんたって、絡んだ視線の先で照れくさそうにはにかむ彼は…世界でいっちばん可愛いと思う。眉も目尻も下げて、どこかあどけなく目を細めるんだ。…俺はこの感情をどうしたらいい? 太ももを這うその手だって、…ああもう本当に。くすぐったくて心地よくて…モンガ、変な気持ちになるから! 思わずその手の上に自分の手を重ねようとしたらタイミング悪く退かされてしまった。うう。悲しい。彼が逸早くスプーンを手に取り食事を再開する様子をしゅん、と上目に見つめて。「 ヒョン~っ。」耐えられず愛おしさが爆発した俺は、腕を彼の肩に回すと邪魔にならない程度に軽く抱き寄せて。首元にぐりぐりと顔まで押し付けて胸いっぱいに満たす彼の匂い。大好きで、大好きでたまらない。ずっとくっついていたいけど、流石に食事の邪魔までしてはいけないとすぐに腕を解いて離れれば両手で顔を拭うついでに髪までかきあげて。「 …ああだめだ俺、ヒョンのこと好きすぎてどうにかなりそう。」困ったように笑うと、自分もスプーンを手に取って食事を再開し。)
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