名無しさん 2022-12-02 18:14:09 |
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( ヒョンが昨夜練習を終えて帰宅してからどうなっていたかは容易く想像がつく。今起きていること自体珍しいと思えるのは睡眠時間をろくに取っていないと確信出来るから…なんだけど。そう、今起きているどころか、こんな早朝からしかも上機嫌に俺にちょっかいを掛けてくる彼。何か目的があって俺が寝落ちしていたリビングへ訪れたのだと思うのだが、ここに居たのがヒョンと仲の良いシュアヒョンだったりよく一緒に居るのを見掛けるドギョミだったら上機嫌の理由は納得できる。元々俺とハニヒョンは仲が良いとは言い難いし、すれ違う部分が多いから…。俺は妥協して今こそ“大好き”が勝っているが、彼からしたら朝目覚めて一番に会う人物が俺だなんてきっといい気持ちはしないはず。…料理をする前に基本の手洗いを入念にしながら、気になってこの件を尋ねてみたのだ。そうしたらどことなくバツが悪そうに視線を逸らされてしまうから疑問を覚えるのがその1。聞かない方が良かったかなと思い直せば「 アニエヨ、ただ、… 」“ヒョンってば心臓に悪いことばっかりしてくるじゃんっ”なんて言えるはずもなく。返す言葉を探していたら、横目に見た彼の表情…控えな笑みとまた詰められた距離に、今日既に何度か感じてる危惧を改めて感じることになるなんてさ…。キュッ、と流れる水を止める手が一瞬ビクつくほど動揺を顕にして、最早今回ばかりは耐えられず胸元の衣服をくしゅと掴んだ。…?? 誰かさん、と、朝から…、内緒…だってぇ…?疑問その2。なんたって彼の話す言葉はまず信じる前に疑えと何度も習ってきたはずなのに。こうもすっと胸の奥深くに落ちてしまうのは、やっぱり俺が一方的に彼を好きなせいなのだろうか。それにしても…例え嘘としても、だ。“朝から二人きりになれた誰かさん”は俺で間違いないということ。その事実を理解した途端、「 …うぁ、ヒョン~…っ、」彼に聞こえるかどうか、ほんの微かな声で呟くとせっかく洗った手を上に上げキッチン台に肘を立てて顔を伏せることになった。ぷしゅ~と効果音が出そうなほど耳を赤くして、今は情けなさなんてどうだっていい…。変に思われてもいいから、冷静になる時間が必要だった。顔は見れてないのに聞こえた悪戯な笑い声に容易く表情が想像できる。少し離れる足音と影…変な体勢で固まっていたが、ふと飛んできた声に顔を上げると 「 おぉん、こまうぉよ… 」と頷いて返す。もう実はと言えば走って部屋にこもりたいくらい恥ずかしくて、このヒョンといるとおかしくなりそうで耐えられなかったが。何とか立て直すと頬をぱんぱんっと両手で軽く叩き、しっかりしろキムミンギュ…!と喝を入れるなり格好悪くもまた手を洗うことになる。今日何度目か分からないため息をはぁぁ~。とつけば、まるでライブ放送かのようなテンションに合わせつつも…。「 い、いぇ~い。…って、もう~ヒョンはあっち座ってて!全然進まないよ~!すぐ出来るから、ね、」これ以上心臓が持たないと、半ば無理やりテーブルの方を指さすと其方へ行けと提案する。そりゃぁ隣に居てくれても嬉しいけど…なんたってまじまじと見られてもさ恥ずかしいじゃん。口ではそう言うが。既に動かし始めてる手は、用意したまな板に水洗いした食材を乗せて、取り出した包丁を握るとさくさくと刻んでいく。「 …手伝ってくれる訳でもないでしょ? 」ちらりと見やった隣の彼と、野菜と一緒に置いてあるピーラー。唇を突き出す表情は少々不満げに。
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