匿名さん 2022-11-22 12:40:22 |
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(優しくもあたたかい”新しい家”には、一つだって不満なことなど無かった。だからきっと、色々なものをうまく受け取ることができなくなっていたせいで、ほんの少し息が詰まってしまっただけなのだと思う。半歩先を行く背中に遅れないようにと足を進めながら、ついそんなことを考えてしまうのは、未だ飲み込めないこの状況からの逃避だろうか。――何の準備も計画もなく、衝動的に新しい孤児院を飛び出したのが昨夜。運よくこの街へと向かう商人の荷物に紛れ込んで、どうにか丘の上の孤児院へと戻ってきたのが昼下がり。それから少し荒れてしまったお庭の手入れをして過ごし、院長が大好きだった花を一輪、墓前に供えようと手折ったところで、目の前の青年に声を掛けられて今に至る。親切な提案に是とも非とも言えないまま連れ出されてしまったが、本当にこれで良かったのだろうか。迷惑になっているのではないかと言う不安はどうしたって拭えないが、寝不足と空腹でぼんやりした頭ではそれ以上の事は考えられず、角を曲がったところ差し込んだ西日に反射的に目を眇めて。眩しさに耐えかねて視線を落とした先には、地平線に沈みゆく太陽と同じ色をしたカレンデュラ。あまり強く握ってしまわないように、けれども大切に腕の中で抱え直していれば『あの建物だよ』と言う声に僅かに顔を上げる。前方に見えるのは夕焼け空の下でなお温かみのある屋根と、なんだか美味しそうな色の外壁。大地に長く影を伸ばしている様は、まるでいつか見た絵本の一ページのようだった。近づくにつれてふわりと美味しそうな香りが漂ってきて、暫く忘れていた空腹感を思い出していれば、勝手知ったると言った様子でドアを開ける青年に続いて建物の中へ。西日を受けて輝く木目の優しさも、壁に連なる春の花々のような色彩も。どれもぜんぶ素敵だったけれど、何よりもこの空間に満ちた穏やかな空気が心地良く、強張っていた肩の力も自然と抜けていき。「わぁ……! あ、ええと……おじゃま、します」初めて見る光景に心奪われていたせいか、カウンター越しに掛けられた声に一拍遅れて反応を示せば、今度は冬の湖のような瞳に見惚れること暫し。飲食店と言うものに馴染みがなく、どう答えていいか分からずにそんな挨拶を選び取れば、その場でぺこりと頭を下げて。それからゆっくりと顔を上げれば、ここまで連れてきてくれた青年の微笑ましげな表情が目に入り、彼が口を開くのを静かに見上げ『――だそうだ。あの端のテーブル席なら、店内が良く見えるんじゃないか?』そんな言葉にこくりと頷けば、素直に示された席へと足を向ける。口を挟むことをしなかったのは、それが大人同士のお話の合図に他ならなかったからだ。椅子に座ると言うよりは半ば登るようにして何とか腰を落ち着ければ、きとんと揃えた膝の上へと、そっと花を下ろして囁きかけて)
――あとでいっしょに、先生のところに行こうね。
( / こちらこそ、娘の名前を呼んでいただけたことが嬉しく、感涙に咽ぶような心地です……!これから交流を重ねていく中で、セラフィナからもジル様をたくさん呼ばせてくださいませ!
そして、臨場感あふれる素敵な初回ロルをありがとうございます!まるで軽食屋に佇んでいるかの如く情景が目に浮かび、ぐいぐいと惹き込まれてしまいました。形式や展開含め気になる点は一つもございませんので、今後とも赴くままに綴っていただけましたら幸いです!ロルの長さについてもご配慮くださり恐縮です。悩んだ末に回想を盛り込んだせいでお返事がだいぶ長くなってしまいましたが、背後様も文量については特にお気になさらず、どうか綴りたいものを優先してくださいませ。こちらも場面などによって割と前後するかと思いますので、ロルの長さについては緩くやっていければ大変ありがたく存じます。その他、ロルの形式や表現、展開等で気になる点がございましたら、お手数ですが適宜お教えいただけますと幸いです!
最後になりましたが、この度は素敵なご縁をありがとうございます。これからどうぞよろしくお願いいたします……!)
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