左 2022-10-15 22:14:32 |
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(口付けを交わす時、彼がよくそうするように後頭部に手が回ってくると、それだけで条件反射の如く心臓が鳴る。期待へ鼓動が高鳴るに身を任せれば体の内側には熱が溜まり、うっとりと瞼を伏せて深まる口付けを甘受し。咥内で絡まる舌は恋人が悦ぶ場所を知っているし、逆もまた然り。怒りも寂しさもあっと言う間に吹き飛ぶような瞬間に脳は快楽に染まり、焦らすように離れた目の前の唇が艶っぽく濡れているのも、そこから覗く舌が自らの唇を撫でるのも堪らなく劣情を刺激する。甘ったるい褒め言葉は耳孔へ蜜を垂らすように響いて纏わり付き、自分にしか向けられる事の無いその優しい声色に心奪われながら鼻の先を触れ合わせ。こうなれば最早夢見心地、此処が何処だろうが関係なく既に己の中には恋人の存在しかない。いつの間にか指の隙間から落ちた煙草は足元で革靴に踏み躙られ、片手を彼の腰に回し、もう片方の手で器用に相手の首元をきっちりと閉ざすネクタイを緩めながら「足りねえ。もっと褒めてよダーリン」と甘えた声で言葉を欲しがり。何だって行動で示してくれる恋人を好ましく思うと同時に、いつだって己の思考を溶かす痺れるような色っぽい声に永遠に愛を囁いていて欲しいとも思う。何にせよ全てが欲しくて堪らない、何もかもが足りないと湧き上がる欲望は止まる所を知らず。煙草を失った口元が相手の唇を求めるも言葉を要求した手前そうするわけにもいかず、耳朶を食めば彼の耳元で光り輝くピアスを舌先で弄び。いつしか目的階に止まったエレベーターは電子音にてそれを知らせるが、その一切は耳に届かず無我夢中で甘い時を貪り)
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