名前は未だ無い、 2022-10-02 19:29:40 |
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以前書きかけてたやつメモに残してあったんだけど、十分まとまっててなぜ載せなかったのか分からず首傾げたのでもうそのまま載せます。供養ってやつです。大切だった貴方へ。捧げるつもりで、でもきっとそれは自己満足に過ぎないから。
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(それなりに冴えない一日だったなんて一人反省会も程々に、既に日もとっぷり暮れ紺の包み込む外へと駆ける。ふと一点、見上げれば電灯と見紛う光を見せる月が高く昇っていた。......嗚呼、久し振りに顔を見た古き友人にでも出くわした錯覚に見舞われる様だ。思えば無意識的に避けてすら居たのかも知れない、自身と同じく帰路に着く周囲の人々からの目は不思議と気にならなかったから、自然と苦笑が浮かぶ。序でに声に出して誰も聞かぬ間にこの想いは封印しようと思い至ったのは、誰に見せるでもない道化心からか。)
拝啓、元気にしてますか。今何処に居るかなんて、訊けもしないし訊く権利もない。要は自己満。きっと君はそんな僕を何処かで見ていて、笑い飛ばすのでしょう。それでも構わない、寧ろ、たった月を見ただけで君を思い出してしまう未練タラタラな僕のこと、君にしか笑い飛ばせないのだから存分にそうしてやって下さい。
......嘘を吐いた。やっぱり気になってしまうんだよ、月が君を連れ去ってしまったの。馬鹿にされないように、彷徨わないように、君が何処で見ていても、或いは見ていなくても、恥じない人生を歩みたい。
いつか、逢えたら運命だね。どうか、お元気で。
あの日の君へ、一歩踏み出せずにいる今日の僕より。
(流石に寒すぎたか、なんて今度は声に出して笑わずにはいられなかった。)
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