裏社会の私と君 非募

田中と申します。
（己龍が電話に再び出たのを見て、このままでは面倒事になると察し、名前を聞かれると適当に名前を告げ「急いでいますので」と急ぎ足でその場を後にし）

「田中さんですか、一応したのお名前も」
(急ぎますの声に一瞬反応ができず遅れる)
「…行ってしまった」
(松貫の背中の方に手を伸ばして呟く)
(心配をしながらも、署の方に戻るため車を走らせる)
「そういえば写真」
(確認するのを忘れていたのに気づくが、運転中なので後でにする)

一応ボスに連絡しておくか
（ある程度歩いたところで後ろに己龍の姿がないことを確認し、ボスに電話をかけ）
「ボス。ご報告があります」
『どうした』
「己龍と接触しました。バレてはいないみたいですが、一応ご報告を。」
（と己龍との間に何があったか、結果的には何も起こらなかったことを伝え、ベンチに座りはぁとため息を漏らし）

(署に戻った己龍はすれ違った人に挨拶をされる)
『己龍さん、今日は一段と厳しい目付きね』
『何かあったのかしら』
(いつもの部屋の扉を開け、先程の電話主の所へ向かう)
「伊藤さん、この写真でどう判別しろと？」
『それしか撮れなかったんですよー』
(伊藤と呼ばれた男は頼りなさそうに笑って頭を下げる)
(己龍のスマホには手ブレが酷い松貫の写真がある)
(その写真は、松貫本人ではなく赤の他人、しかも男である)
「仕方ないですね、今から会議でしょう？」
『そろそろ、あっ、もうこんな時間だ』
(時刻は14時半を指している)
「情報、ありがとうございました」
『それ嫌味っすよね、怖い怖い』

（ベンチで一休みしていると松貫の携帯が鳴り、画面を見ると少し険しい顔をし）
「電話かけるって事は片付いたのか」
『いえ、少々お力を借りたく…』
（電話の相手は松貫の部下で。別組織との交戦中。どこから情報が漏れたのかその場に警察が来て警察とも殺り合う事態になったと報告を受け重い腰を上げやり合っているのは港近くの倉庫と聞き別の部下に迎えを頼み車に乗りこみ）

長い長い会議で分かったことは、BlackWolfの規模の大きさと被害の大きさだけだった
今は表社会に出てはいないものの、いずれかは出てきてしまうのは確実だろう
しかし、幹部クラスの情報が全くないのは厳しい
無駄に多い書類をまとめて席を立つ
とりあえず外でなにか情報を集めるしかないか
ホワイトボードの自分の名前の隣に、17時まで外出と記入する
椅子にかけられたスーツの上着を手に取り、外へと出ていく

（警察と殺りあっていると聞いていた港近くの倉庫に辿り着くと多くの警察と同じ組織の人間、別組織の人間が倒れており遠くでは今も尚殺り合っている声が聞こえ）

早く片付けるぞ
（この場を一掃するよりも早急にこの場を離れることを優先し、部下に指示した後、隠していたナイフをすっと出し、殺り合っている場所に歩いて行き）

港の方への応援要請を聞き、松貫のすぐ後に港へと到着する
やり合っている声を後ろに、どう対処するかを考えながら上着の内ポケットにある拳銃を引き抜く
(かなりの数の被害者が出ている、迂闊に動いたら俺も)
場を伺いながら見ていると、後ろに気づかず後頭部に銃口を突きつけられる
「…っ！」

おや、後ろには気をつけないとだよ
（己龍の後頭部に銃を突きつけたのは松貫の部下で。その後ろで腕を組み片足に重心をかけた立ち方をし、得意げな顔で上記の文を述べつつ「己龍さん」とあたかもお前の情報を持っているぞと言わんばかりに己龍の名前を告げ）

「………」
(完全に後ろを取られて思わずため息をつく。それでも銃は捨てずに腕の力を抜く。両腕をブラブラさせて口を開く)
「よく俺の名前を調べましたね、お見事です」
(部下側からは見えないが右頬には汗が伝う。暑さのせいか緊張のせいかは分からない)
「ですが、気をつけないといけないのは貴方でしたね、山下さん」
(部下の名前を呼んだと同時に手榴弾を投げる)

（投げ込まれた手榴弾と共に己龍の後頭部に銃を突きつけていた部下は爆発に巻き込まれ。松貫は手榴弾が投げ込まれると直ぐに近くのもの陰に隠れ爆発や爆発による爆風を耐え）

己龍。どんでもないことしてくれるな
（と変わり果てた部下の姿と爆発による惨状を見つつ、何やら面白そうに右側の口角を上げながら笑い）

(己龍自身は手榴弾を投げたと同時に前へと出ていた為被害なはい。巻き込まれた部下の惨状を一瞥しても一切表情を変えない)
「それはこちらのセリフです」
(声の方に向き答える。雰囲気から上位クラスと読み取りまずは相手がどう動くかを見る)

まさか手榴弾とはな
（自分自身まさか手榴弾を投げ込んで来るとは思っておらず予想外の展開に少し心を躍らせ）

警察も派手にやるものだ
（と少し皮肉交じりで言いつつも物陰から相手の出方を探り。この間もずっと何が起きても良いように、小型ナイフからは手を離さず）

「派手なのはお嫌いですか？」
(何があっても松貫から目を離さず射抜くような目つきで睨む。一瞬、小型ナイフに目を移し接近戦が得意なのかと考える)
「……お名前をお伺いしても？」
(答えるわけないと思ってながらも、こちらの優位に持っていくために会話を続ける)

あら、簡単に教えるとでも？
（射抜くような目つきで睨まれても態度は変えず、名前を聞かれるとそう簡単には敵に持たれたら厄介な情報はあげないといい）

今日教えたはずだけど、忘れちゃったみたいね
（とあたかも先程名乗った名前が本名かのような口調でいい。ついでに、自分のことを覚えているか確認をし）

(自分を覚えているかのように話す松貫に違和感を感じる。そんな顔を見た事はないし、裏社会の知り合いなんているはずもない)
「ついに錯乱されましたか」
(そのまま対峙していても時間の無駄と判断し、左足にセットされてあるホルスターから拳銃を引き抜く)

あら、生き急がないで？
（その言葉と共に己龍の後ろで己龍に向け銃口を向ける松貫の部下が複数人いて。腕を組み余裕そうな笑みで己龍に向け笑いかけ）

(最初から気配は察知していたのか、後ろも見ずに複数人の額を撃ち抜く)
「生き急いでいたのは彼らのようでしたね」
(次の弾をセットしながら言う。松貫の顔を一瞬だけ見るだけで、ずっと視線は手元にある)
「さて、次はどうされますか」

おやおや、甘く見ていたようですね
（想像以上の行動をする己龍を見て腕を組み右手を口の前に持っていきくすくすと楽しそうに笑い）

とはいえ、君と殺り合っている暇は無い
（そもそも殺り合いたくてこの場に来た訳ではなく、この場から離れる為に来た為、上記の文を述べたあと踵を返すようにぐるっと180度回転し足早にその場を去り）

(いつ松貫から手を出されるか分からず、緊張が溶けずに居る。)
「待て！」
(逃がす訳もなく松貫を追いかける。)