見た目に拘る事なかれ（〆）

わっ！？

(突然肩を叩かれる感覚に身体を本気で震わせては失礼な驚き声を口から出して振り返る。
そこには陽キャと言うかThe女の子というか、とにかく今の自分とは縁遠そうな子がいる。そして少しだけ冷静になって、今の自分の態度にうんざりする。失礼な驚き方というのもそうだし、なんかすごいど陰キャみたいで嫌だな……なんて思いつつ。とにかく人に声をかけられるというのが久しぶりだった為仕方ない気はするのだが。

それにしても、目の前の自分に声をかけた女の子は屈託のない笑顔を浮かべている。
俺が変な人だとは何も思っていないのだろうか、そもそもこの人誰だっけ？　他に友達とかはいないのだろうか、なんて色々な思考を頭にめぐらせているせいか。なんて様々な思考が頭を巡って少しの間硬直してしまう。
なんとか頭の中を少しずつ整理しつつ、とにかくこのまま黙っている訳には行かないと思い始めれば何か返そうと口を開いて、少しパクパクとさせてから。)

あ……お、俺はいいけど……。

(なんて素の返事。大学入学前に妹に面白半分に教えられた女の子の言葉遣いなんて欠片も覚えていない。まあ使っていないのだから仕方ない。そもそも使ってもぎこちなくて変な人扱いされたし。
しかし俺なんて言ってしまえば結局おかしいのでは？　なんて冷静な思考に至れば、今の自分の発言を取り返す術を考えつつ。ふとさっきまで、「今度人と会話する機会があればいっそ正直に打ち明けてみよう」なんて考えていたことを思い出せば、もうどうとでもなれと唇を噛み締めて。)

あ、あのさ、俺もともと男なんだけど……！　…………って、言ったら、信じる……？

(ハッキリしっかり言うつもりが、自分の口に出した異次元すぎる言葉に恥ずかしくなってしまって妙に保険をかけるような付け足しを変にしてしまっては、このトンデモ発言をどう受け取るのだろうかと相手の様子を伺うようにして。)