匿名さん 2022-09-15 18:22:16 |
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うおっ?
(相手の視力を確認していると、こちらの顔の位置を正確にとらえて相手もまた顔をこちらに向けてくれば、その正確さに驚くように小さく声を上げ。相手の目が見えない人生の中で、目が見えないなりに視力以外の感覚が研ぎ澄まされているようで、こちらの顔の位置を捉えたまま笑顔を向けられると案外肝が据わっているんだななどと少しだけ感心してしまい。相手はこちらの皮肉を否定せず、素直に受け止めて視線を下げる。張り合いのない相手の対応に気に入らないのか「チッ、」と舌打ちをして。)
…那月。俺の名前だ。
(長い人生の中で、この建物のつくりや己の位置を把握しているのか、目が見えないのにもかかわらず、階段を上り始めると、本当にこの女と共同生活が始まってしまうのかとうなだれるが、これはチャンスなのではないかと考えることにして。スラム街の過酷の環境よりここにいれば衣食住は前の様に困ることはないだろう。ただ、貴族と一緒だという点は気がかりだが相手は己と同じ『見捨てられた側』だと考えればなんとか耐えられる。「それじゃあ、お言葉に甘えて自由にさせてもらいますよ。お嬢。」と、おどけて見せた呼び方をすれば。入口の小窓から執事服のようなものが投げ込まれ。これを着ろということなのだろう。今己が身につけている服よりやはり上等なものだ。どうせ着るなら汚れている体をきれいにしてからのほうがと思えば。)
なァおい。風呂はあるか。
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