世界はあなたの色になる 〆

【沖矢 昴】

ホォー。空手ですか。
蘭さんと言うとあの毛利さんの娘さんの毛利蘭さんですよね。彼女も大会出場者ですし、彼女の空手の強さも並の男性では歯が立たないでしょうし……蘭さんと一緒に空手をしていたなら自衛は出来るかもしれませんが、女性の身であるのは間違いありませんから、何かあったら相談してくださいね。何か助けになれるかもしれません。

(何気なく問いかけた質問であったが、空手と聞けばつい口癖が出てうっすらと目を開き翠色の瞳を覗かせる。毛利蘭とは顔馴染みだし何度か行動を共にした事もある。その時に彼女の空手の腕は見た事あり、何度か空手で犯人確保に役立っているとも聞いたこともあるし、その現場も見た事がある。彼女の重心のかけ方から何かしらしていたかもとは思っていたが、なるほど空手かと納得すれば1つ頷き。毛利さんの腕なら何の心配もいらないのだろうが、目の前の彼女の場合留学していたのもあり空手から離れていた可能性が高い。この街は何かと事件も多いが、事件のみならずストーカーや痴漢。その他にも暴漢行為等女性ならではの事件に巻き込まれない可能性だってある。その時に咄嗟に自衛出来る術を持っているのは素晴らしいが、中には萎縮してしまったり複数の男に掛かられたら無力化してしまうだろう、何か怪しい事などがあったら遠慮なく相談して欲しいと、優しげな口調と声音で微笑みながら言うと、彼女の身を心配するような言葉を言って)


【白井 鈴菜】
なるほど。逃走手段ですね。
それなら私の顔を見られる前に撤退可能でしょうし、先程の事にさえ気をつけてくれれば建物に侵入して情報収集も出来ますから、その時は遠慮なく言ってください。
陰ながら日本を守ってくれてるお巡りさんな訳ですし、微力ながらお手伝いします。

(大まかな能力の使用したい場面を聞けば、潜入捜査をしていると言っていたし、これまでもしかしたら何度かその組織の人に怪しまれていた可能性があるのかもと思うと、そうなった場合走って逃げても車で逃げても追いかけられて来るものだろう。目の前の彼は頭が回りそうなので、怪しまれないように言葉を言い連ねそうだが、必ずしも怪しまれて命が危ないなんて事が無いなんて言えない。というか命に危機が無いなら自分の能力を逃走手段として欲しいなんて言わないだろうなと推測すれば、良いよと頷き。
これまでこうして会わなければ分からなかったが、実際にこうして人にも言えず本名ではなく偽名まで使って自分達の生活を、日本を陰ながら守ってくれている人が居ると知れたのだ。それならその恩返しも兼ねて自分の能力が役に立つならいくらでもと笑みを浮かべて了承し。それに潜入捜査という事は情報だって重要だろう。自分なら先に打ち合わせ場所に潜入出来たり注意点さえ気をつければ手に入る情報はぐんと増える筈。……多分。潜入捜査には情報が命と聞いた事がある、初めは知られてしまったからと言うのがきっかけだが、こうして身も心もすり減らしながら生活している人がいるのだ、少しでも楽をさせたいと思うのはきっと自分の性格によるものだろうが、ドンと来いと胸を張って笑いかけ)