匿名さん 2022-09-03 19:19:45 |
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【 ヘレナ・アンティパス 】
…貧乏臭いやつ。
( 先程までの動揺はどこへやら、食堂に着くや否や食欲を隠すこともなく見せる彼に目を細める。厨房に行ってくると自分を放り出した彼の背中を不満げに見送ってから率直に呟いては、一人で料理を取って席につく。自分の知る貴族の男は女を放って行くことなんてしないし、そもそも残飯をあさりに行くこともしない。それなのに彼ときたら。自分が獣人だったら、きっと今頃入学式の晩に部屋に押し掛けたときの寮長のように床を尾で打っていただろう。しかし彼が寮長とそれなりに近い距離にいて、自分にとって利益を持ちうる存在である以上、あまり無碍にもできない。あの寮長も一体どうしてこのハイエナをそばで働かせるのだろうか。そんなことに思案を巡らせながら、時折水を口にしつつ彼が戻るのを待ち )
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【 ジェイド・リーチ 】
そうですね…強いて言うなら陸の抱擁がどんなものかが分かったこと、でしょうか。
( 寮長には振られたという言葉で、アズールが彼女の提案を断るさまを想像する。きっとなんの利益にもならないからとか言って彼女のことを抱き締めなかったのだろう。それとともに彼女がどんな反応を示したのかも気になってしまって、敢えて断るのも面白かったかもしれないなと思案する。しかし、これによって陸の女を抱き締める感触というのも知ることができたし、ある程度の好奇心は満たされた。彼女をからかってどんな反応をするのか確かめるのはまた今度でも構わないだろう。どうせこれからひと月は嫌でも共に過ごすことになるだろうし、アズールから彼女の監視役を頼まれることだって想定できる。
そんなふうに思案を巡らせ、彼女の腕の力が緩むのに合わせて自分も彼女の身体をそっと離す。得るものはあったかと小首をかしげる彼女に答えては、彼女にも同じ質問を返し )
それで、ドロシーさんの方は何か得られましたか?
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