匿名さん 2022-09-03 19:19:45 |
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【 ヘレナ・アンティパス 】
善処、ね。ふふ…まあ、それでもいいけど。
( 自分の言葉に露骨に動揺し、持っていたタッパーを落としてしまう彼に満足げに目を細める。赤く染まった顔や緊張した挙動が目論見通りに自分を意識していると示しているような気がして、正直とても気分がいい。一つ気に入らないとしたらタッパーを拾いきった彼の答えが善処なんて曖昧なものであることくらいだが、それもまあ及第点だろう。あの寮長もここまでとは言わずとも、自分になびく素振りの一つくらい見せてくれればいいのに。そんな風に考えを巡らせつつ、早まる彼の足取りに置いていかれないように自分も歩調を上げて隣を歩く。そのうちに生徒たちがざわめく食堂に辿り着くと何を食べようかと思案しながらメニューの表示を眺め、彼に視線を向けて )
ラギーは何にする?私は魚のフライとサラダにでもしようかと思うんだけど。
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【 ジェイド・リーチ 】
ふふ、アズールにもそんなことをおっしゃったんですか?さぞかし面白かったでしょうね。アズールがどうしたのか気になるところですが…僕は喜んでお受けしますよ。
( VIPルー厶からこの場所までの見送りは多くの生徒にしたことがあるが、これほどまでに退屈のない見送りは初めてだ。しばらく彼女がここで勤めることになるのなら、これから彼女と関わることも増えるだろう。これからの生活が面白くなりそうだと、久々の高揚感が胸に募る。彼女の視線にどこか観察するような色が滲んでいるのを見て取ると、普段はそうして人を観察する側である分奇妙な気分になってしまう。彼女はそうして目を細めて、自分からどんな情報を導き出すのだろう。
その思考も望みも暴いてしまいたいという欲を噛み締めているうち、抱き締めてほしいなんて提案をかけられるとわずかにを丸くする。彼女の言葉通りにアズールが面食らうのは想像がつくが、それで結局彼は彼女を抱き締めたのだろうか。何にしろ、陸の女を抱き締めた経験もないし、彼女の求めに応じれば少しは何か分かることもあるかもしれない。そんな好奇心からその言葉に頷くことを選んで歩み寄り、そっと腕を広げると軽くその身体を抱き締めて )
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