匿名さん 2022-09-03 19:19:45 |
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【 ヘレナ・アンティパス 】
( 自分が初めてという言葉を聞くと、眼差しに滲んだ不満げな色が少し和らぐ。彼が自分以外にあんな態度を見せたことがないと思うと、自分が特別である証明を得たような気がして少し気分が晴れる。しかしもしも彼が他の女にも自分と初めて会ったときのような反応を見せるとしたら、自分は少し顔が良いだけのお嬢様に過ぎなくなってしまう。彼には、自分が特別であることを測るための物差しとしてずっと自分だけを見ていてほしい。
そんな欲が自分の胸のうちに燻るのを随分我儘だと自覚するものの、かと言って抑える気もない。拗ねたような口ぶりで話を切り上げては、照れと恥じらいを滲ませた眼差しで彼を見遣る。本音から出る言葉を好意を含めたような演技と共に告げては、表情を和らげて )
もうこの話はやめにしましょ、ラギーが他の女を好きになるのなんて考えるともやもやしちゃうし。
…でも、入学式の時みたいになるのは私が初めてって聞けたのは嬉しかった。これからも他の女にあんな態度見せないでくれたらもっと嬉しい、かも。
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【 ジェイド・リーチ 】
なるほど、……いつその答えが分かるのか、非常に楽しみです。
( 時が来れば誰しも自然と差し出してしまうもの。その言葉を頭の中に巡らせながら、まるで謎掛けをしているようだと思ってしまう。彼女がアズールに求めた"愛"とやらが彼女にとってどのような利益であるのかも分からないし、自分にそんな態度を取るのもどんな欲望のためなのか分からない。この得体のしれない女がまさか率直な愛情を欲しているとは思えず、その奥にある打算が何なのかをあれこれ思考してしまう。
自分よりも華奢な手に取られた自分の手を見下ろし、それから和らげられた彼女の表情を見遣る。まるで心を開こうとしている愛らしい小動物のような見た目の裏に、何を隠しているのだろうか。考えれば考えるほど唆られる好奇心が愉快でならず、探るように彼女に向けた目を楽しげに細め )
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