匿名さん 2022-09-03 19:19:45 |
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【 ラギー・ブッチ 】
……女子の好みなんて話すと本気で思ってるんスか。そんな世間話しないッスよ。
(色良い返事に「よっしゃ」と顧客獲得の声を上げ、機嫌の良さが足並みに現れ弾むように廊下を往く。無論報酬のことだけでなく、彼女に頼られること、彼女に余計な男が寄り付く機会を一つ潰せたことを喜ばしく思う気持ちも大きく、自然と鼻歌が零れ始めるが、次に向けられた質問でぴたりと止み。
まずは呆れた様子でじとりと見詰め否定を。知り合ったばかりの自国の王子兼先輩にそんなこと聞けるかよ、と内心で言葉を付け加えた後、答えやすそうなもう一つの質問について考える。どんな人、というのは、どういった意図の質問なのだろうか。結局は彼女の考えを汲めるわけもなく自分なりの答えを出すしかないのだが。普段部屋や植物園で見せる怠惰でだらしない姿や、部活で見せる部長らしい姿。ここ数週間の寮長の印象を振り返りながら、どこか辿々しい口調で答えを述べ、加えて質問を返して。)
どんな人かぁ。気に食わないところも多いッスけど、まあリーダーには向いてるんじゃねーかな。部活でも何だかんだ面倒見はいい……気がするし。ヘレナくんにはどう見えるんスか?
【 ドロシー・エルリッチャー 】
……、いいえ。この距離なら、よく見えるから。
(よくあることだからこそ嫌気が差しているかと思ったが、どうやら兄弟とは違いそれなりに温厚らしい。胡散臭くはあるが相対的に好感を覚える。帽子が取られる動作をじっと見詰め、顔立ちの全体的な雰囲気が捉えやすくなると何を言うでもなく視線を絡めて、ゆっくりとした瞬きを数回繰り返した後、何か言いたげに瞳を揺らして僅かに切なげに眦を細める。ほんの小さな動きで首を横に振り、口角を上げて笑みを見せ。我ながらロマンチックで素晴らしい間の取り方だとは思うが、その実相手の顔を覚えようと必死だ。慣れるまでは程良い緊張感と共に過ごすことになる予感がする。そんな嘘だらけの態度の中、彼の瞳に映る自分の姿が薄らと目に入れば僅かに息を呑み、きゅんと胸が高鳴れば頬がほんのりと桜色に染まり始めるのが分かる。慌ててとん、とん、と数歩下がって適切な距離へと戻り、はしたなく近付いてしまったことへの言い訳を気恥ずかしげな笑みと共に告げ、浮き足立ったように自らの髪を撫でて。)
よかった。……最低でも一ヶ月は一緒に働くんだもの、見分けはつくようにならないとね。まじまじ見てしまってごめんなさい。
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