匿名さん 2022-09-03 19:19:45 |
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【 レオナ・キングスカラー 】
(やっと長ったらしく退屈な入学式が終わり、世話のかかる新入生たちへの説明も済ませた。流石の入学式は寮長という大層な肩書きのせいでサボることも許されない。部屋に戻るや否や窮屈な式典服を破るように脱いで床へと適当に放り投げ、魔法で寮服に着替えてベッドへと直行する。あの退屈な式典の中、何度欠伸を噛み殺したことか。マットレスに体を沈めて脱力し、瞼を下ろせばすぐに心地よい微睡みの波に意識が揺られ始め、僅かに寝息を立て始め──その矢先、ノックの音に引き戻される。ぴんと耳を立てて音を拾い、その名前に心当たりががつくと舌打ちを。寮長会議の際に伝えられていた、今年限りの“特別枠”とやら。唯一の女生徒ということで留意するよう言付かっている。まさか夕焼けの草原出身でもない女がサバナクローに寮分けされるとは思わなかった。面倒だが、女は女だ。大儀そうな声を隠さず入室の許可を与えると寝返りを打ち扉の方へと背を向けて。)
あぁ?ヘレナ……、チッ、例の特別枠か。
勝手に入れ。短く済ませろ。
【 ドロシー・エルリッチャー 】
貴方に私を愛してほしいの。……駄目?
ああ、上辺だけの言葉が欲しいわけじゃないのよ。今貴方に「愛している」と囁かれたって何も嬉しくない。気持ちが伴っていないもの。勿論愛が育まれるまで十分に待つつもり。一日二日で生まれる愛なんて紛い物よね。
(随分と意表を突かれたらしく、べりりと音を立てて作り笑いが剥がされる瞬間を目撃し、つい笑みが零れてしまう。咳払いの後、掌の中から彼の手がするりと抜けてしまえば残念そうに肩を落とし、大人しくソファへと座り直して脚を組み、彼からの質問に対する端的な答えを返して小首を傾げ。しかしすぐに言葉足らずだと気付き、それこそ商売のように上っ面だけの甘い言葉を囁く彼の姿を想像しくすくすと肩を揺らして笑い、愛についての持論を語り始める。愛情の尊さについて語れと言われればいくらでも時間を費やせるところだが、ある程度のところで留めてふうと一息を。改めて相手と向き直ってにこりと微笑むと、最も端的に言い表して正面を見据えて。)
……つまり、貴方の時間をくださる?これなら分かりやすいかしら。
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