匿名さん 2022-09-03 19:19:45 |
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【 ヘレナ・アンティパス 】
舎弟?そんなわけないでしょ、使用人が必要ならもっとましなのを雇うし。
( 舎弟だろうが奴隷だろうが、自分が彼をこき使うつもりだと思われるのは不本意だ。そのつもりでいられては彼も反感を抱くだろうし、自分から尽くす気になってくれる方が都合がいい。そんな考えから彼の言葉をはっきりと否定してみせる。そもそも、使用人を雇うなら彼よりも教養があって素直な人材の方がいい。そんな言葉を口にしながらも、自分の後ろを歩く彼と視線を合わせるために振り返り、そのままの姿勢で歩みを進める。
なぜ自分の後ろを歩くのだろうかと思いながら彼のことを眺めた後、先程よりも楽しげな口ぶりで問いをかける。こうして生意気だった彼の優位に立つのは気分がいい。そんな気分に浸りながら彼を見つめて首を傾け )
ねえ、私の隣に立てる身分じゃないって分かった上で遠慮してるの?そうじゃないんならさっきみたいに隣を歩いてよ、これじゃあお喋りもしづらいから。
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【 セベク・ジグボルト 】
っ、…分かった。後で僕から連絡してやろう!
( 長い睫毛に縁取られた彼女の淡い桃色の瞳を見据え、自分の気持ちが少しでも伝わるようにと密かに念じる。赤く染まる頬が愛らしくて、思わずうっとりと情けない溜息が漏れそうになる。そんな彼女が自分の目を見つめ返してくれるのは、受け入れようとしてくれている証拠だろうか。
そんな淡い期待をしてしまいながら彼女の行動を待っていると、胸ポケットにその手が触れる。自分の鼓動の速さに気づかれてしまうのではないかと思って一瞬身を引きそうになるものの、それが連絡先であることを理解するとその言葉に従順に頷く。連絡をすればまた彼女とこうして会えるのか。今別れなくてはいけないことは寂しいが、これが最後でないと思えばだいぶ気が紛れる。そう思うと大人しく彼女に教科書類を渡して )
気をつけて運ぶんだぞ、人間。
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