匿名さん 2022-09-03 19:19:45 |
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【 ラギー・ブッチ 】
……別に、大したことじゃないんスけど、…。
(ころりと転がる笑い声を聞きながら、フードの裏で顔を顰めて息が漏れる。明らかに揶揄われている。決して気分がいいわけではないが、それでも今までお高くとまった冷淡な印象を持っていた相手の、普通の少女らしい反応を見られたことで印象の氷解を感じ、こちらとしても警戒が緩む。今度は深く、彼女にも聞こえるように溜息を吐くと、フード越しにガシガシと髪を掻き乱して気持ちを切り替え、隣へと不満顔を向ける。未だ纏まりのない気持ちを上手く形容できる気がしなくて、半ば無理矢理レッテルを貼るようにこの動揺の理由を定めて口に出すと、辿々しく終止符を打ち。再び不躾な視線を向け、じっとその顔立ちを眺めてみる。あぁ、やっぱり美人だ。肌は白いし、髪はサラサラだし。こうも綺麗だと、褒め言葉を口に出すのもただの事実を羅列しているに過ぎず、気恥ずかしさも無くて助かる。慣れない状況に湧き上がる気疲れを感じ始め、首まで詰まった式典服の釦を幾つか外して。)
オレは育ちが良くないもんで、アンタみたいな身形のいい美人さんを前にするのは慣れてないっていうか、……慣れてないんスよ。それだけ。
【 ドロシー・エルリッチャー 】
……そう?なんだか悪い気もするけど、…嬉しい。でも、今度何かお礼はさせてね。
(ぐっと視線を逸らす彼の様子が微笑ましくて、思わず笑みが溢れてしまいそうなのを抑える。分かりやすい子だ。きっと愛情表現もストレートなのだろう。それとも今の反応の通り照れ隠しも混ざるだろうか。まあどちらだっていい。そこに心が伴うのなら、どんな形で愛してくれても構わない。ふっと吐息混じりの笑みを零し、触れた腕をそっと離して。
視線の先に鏡舎が見え、次第に距離が縮まっていく。元々さほど校舎から遠いわけでもないし、彼の歩きに合わせたらあっという間だ。「セベクくん、」と小さく声を掛け、相手の進行方向へと立つ。鏡舎の方にちらりと一瞥を向け示してから、低い位置で両手を差し出し受け渡しを促して。)
この辺りで大丈夫。ありがとう。渡してくれる?
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