飼い主(仮) 2022-08-31 22:16:54 |
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すみません、子猫を拾って…診てもらえませんか?
(段ボールの中でか細く息をするのは死ぬ間際だからか、小さい身体を震わせるのは寒さか恐怖からか。子猫の抱いている感情など知らず、可哀想だという気持ちが頭の中を占めていた。段ボールの揺れは居心地が悪いだろうに、縮こまる姿に申し訳ない、という気持ちが募っていった。また、段ボールを持ちながら歩いていれば耳に入るのは動物を捨てに行くところでは無いか?と囁く声。そんな事をしに行くのではないのだと、疑惑を晴らしに行きたいが変に言い訳して逆に不審がられるのが嫌な気持ち3割、早く子猫を病院に連れて行きたい気持ちが7割で、聞こえないふりをして去っていく。ただし、その顔は情けなく眉と目尻を下げてどんよりとした雰囲気を背負っていた。暫く歩いて見えてきたのは、動物病院の緑の看板。まだ閉まっていないようで暖かな待合室に入ると、片付けを始めようとしていた受付の女性に声をかけた。事情を話せば直ぐに診察室へと案内され、中央に置かれた台の上にそっと段ボールを下ろして中を覗いて)
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