さすらいの旅人さん 2022-08-31 15:48:09 |
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>エクラン
「おう、エクランか」
(此方の存在に慌てたのか、素っ頓狂な声を上げてから会釈する相手に一瞥し、此方も短くだが言葉を返す。どうやら向こうは手配書の張り出しをしていたらしく、自身の首に懸けられた賞金が上がった事を伝えてきた)
「ほぅ…上がったか。これで少しは気骨のある奴と斬り合えるというもんだ」
(賞金首になった経験は無いわけではない。朱角を手にあちこちを放浪しては用心棒やら何やら、日銭で命を売る仕事をしている中で恨みを買ったり禁制を破った為に金を積まれて命を狙われる事はあった。だが、所詮は小さな国での出来事。今のようにもっと大きな世界では積まれる額もその金に惹かれて現れる“腕利き”の数や質も違う。だからこそ、己の首に懸けられる額が上がっていくのは楽しみの一つでもあった)
「そういや、此処の船員以外で高値の付いた奴は居るか?居るんなら是非斬ってみたい」
(エクランの趣味が手配書集めなら、高額の賞金首について何か知っているのではないかと尋ねてみようか)
>ランレイ
「応とも。財宝目当ての賊の襲撃も無ければこれといって面白そうな果し合いの誘いも無し。酒でも呑まんと退屈を紛らわせん」
(異国の武人。それも得物を持たない徒手空拳で武へ至った者。己の国にもそういった類はいたが、突き詰めれば兵法や鍛錬の類であって実戦では一度も目にする事は無かった。それ故にどうしても試合ってみたかったが、船員である以上仕掛ける事も出来ない。何より、この娘が平時殺気を出す事が無い以上、無闇に此方だけが昂っているのも興醒めだと思い至ったのだった)
「それに、俺の国では葡萄酒なんていう酒は無かったからな。酒といえば米を使うのが当たり前だった」
(海で生きるようになってからは食い物や飲み物も知らぬ物が多く、それなりに長く此処で生活はしていても未だ真新しいものだった)
「そういうお前も酒を飲みにきたのか?」
(貯蔵庫へ来る理由など酒を取る以外に自分にはない為、相手も同じ理由で来たのかと尋ねてみようか)
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