政府所属管理部 2022-08-08 23:28:37 |
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戦は混沌を極めていた。続々と現れる敵は多く、何か進展がある訳でもない。数の多かった審神者も次々と姿を消し、時には本丸に姿を現さなくなっていく。その事実に憤りを感じたのか審神者が戻るとお小言のように、苦情のように、その思いを吐露する刀も増えた。
新年にはその人間らしい行事を祝い、審神者に敬意を表す。畑を耕し、日々の生活を紡いでいく。
そのなんと人間らしいことか!
「何人かの審神者が行方不明になりました」
「その本丸は寂れていきましたが、審神者の霊力だけは健在で何故か刀剣男士が不満を言う様子もありません」
「…カミカクシでは?」
「ええきっと、そうなのでしょう」
「機能しているのなら問題はありませんね」
そんな会話も何度目か。
ある日、とある政府の人間が会議で発した言葉がその後の政策の全てを決めたのです。「積極的にカミカクシを推奨してはいかがでしょう」
それが随時不規則に目の届かない場所で行われるのはいただけない。ならば政府で囲ってしまえばいい。恋をする審神者を恋慕を抱く刀剣男士を、そっと政府の目の届く所へ呼び出して…政府まで御足労いただいて、“ただお茶をするだけの時間を。”
「その場で何を吹き込まれたか?さあ、私は存じませんね」
これは、
審神者を自分のものにしたいと後暗い欲望を持つ刀剣男士と
そんな刀剣男士と共に在りたいと願いながらも、欲望に気付かぬフリをする審神者と
そんな二人を唆す蛇のような政府の物語
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