常連さん 2022-08-07 20:04:10 |
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ナワーブ:
(こういった際に己の気が回っていないことにまで気が付いて導いてくれる容量の良さは、数多くある彼の美点の一つであると常々考えている。たとえばこのコンパス然り、方針を提示してくれること然りだ。自慢の相棒、だなんて小っ恥ずかしくて滅多なことでもなければ口には出さないが、表情には多かれ少なかれ出てしまうものらしく。ゆるりと優しく目を細めれば自らも肩口が触れ合いかねない距離まで近寄って彼の手の内にあるユラユラと動く針先を覗きこみ。彼の提案に一つ頷きを返して日の高さと共に示す方向を確認すれば、自身の荷物を背負い直して一歩出した足で草を踏みしめ。そのまま進むかと思いきや、上体を捻り彼に振り向けば微かに口角を持ち上げて期待の言葉と共に彼の肩をぽんと叩こうとし)
よし、日が暮れる前に着きたいところだな。敵側もそう易々と踏み込んではこれないだろうが、鉢合わせした時は逸れないように切り抜けるぞ。…頼りにしている。
トーリカ:
(本来ならば端正と言って差し支えないであろうその顏にも広がる亀裂と闇を濃縮したような瞳のせいか些か表情の変化は分かりづらいものの、少なくとも悪印象は与えていないと感じ取ると同時に彼の肩書きに息を呑んで微かに目を見開き。よくよく見てみれば、どこか高貴な印象を与える衣装、そして優美な立ち居振る舞いにもしやとの期待を込めて口を開き。彼こそが目当ての人物かもしれない。いいや、正確にはその関係者か。耳に挟んだ噂は老年の男性の話であり、目の前の不気味な若々しさを持つ青年とは矛盾する。故に当人ではなく関係者であるかもしれないと思い至ればハンターとサバイバーという立場を忘れて少々高揚した声音で前のめり気味に問いを。既に意識は己の命を刈り取りかねない刃から外れて彼本人にのみ向いており)
ジョゼフさん……。そう、写真家。だから写真機がここにあるのね、納得がいったわ。唐突でごめんなさい、もしかして貴方はデソルニエーズ伯爵──の関係者だったりするのかしら?
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