匿名さん 2022-08-02 08:33:24 |
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勿論。聖彩のために買ってきたんだし。( 皿に乗せられたケーキが、部屋の照明に照らされて控えめに自己を主張している。綺麗に彩られ、コーティングによってきらきらと輝く様は、モデルの自分と通じるものがあるように感じないでもない。二種類のケーキのうち、特に彼女の目を引いたのはフルーツタルトのようで、深く悩む素振りもなく早々にそちらを確保している。どうしても決められないようならば半分ずつにする提案の用意もあったけれど、どうやらその必要は無いらしく、彼女に倣ってショートケーキの乗った皿を自分の前へと引き寄せれば、遠慮がちにこちらを窺う瞳に優しい微笑みを向けて。嫉妬心を露わにしながらぶつくさと不満を垂れる彼女は自身が予想していた姿とは180度違い、部屋を訪れるまでの不安が杞憂に終わったことを知らせてくれる。傍に寄ってきた彼女の首の後ろに腕を伸ばし、折り返すように肘を曲げて頭の上に手のひらを乗せれば、〝まさかそんなわけがない〟とでも言うようにふっと小さく息洩らしながら宥めるような声を掛け )向こうだってそんなつもりじゃないって。新人だからちょっと距離感間違えちゃっただけだろ。
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