匿名さん 2022-08-02 08:33:24 |
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いらっしゃい、入って。( そわそわと彼を待つ間、自分の家なのに他所であるかのように落ち着かなかった。付き合ってばかりなわけでも、彼が家に来るのが初めてなわけでもないのに。人の目がないから気負うことがない、その事実が逆に緊張を呼ぶのだ。実際に一緒にいるよりも心がざわつくだなんて本末転倒。色々動き回りながらなんとか平穏を取り戻し。彼からの連絡を受けてから少しして、到着を示すインターホンの音が響く。否、別にドキドキしてなんかいない。姿を見るだけで、ほっとしたような、嬉しいような気持ちになる。生憎早く会いたかったと素直に告げるような可愛げはなく、ポーカーフェイスを装いつつ、端的な言葉と共に招き入れ。彼の手にあるのはスイーツショップの紙箱。きっと己のために買ってきてくれたのだ、なんて嬉しく思いながら問い掛ける。気分によってフレーバーを変えるために色々と揃っている。希望には答えられるだろうと自負しており。自分の分のアッサムティーのティーバッグを用意しつつ、のんびりしていて貰おうと声を掛けて )紅茶と珈琲、どっちがいい?他のでもいいけど──取り敢えず適当に座ってて。
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