匿名さん 2022-07-29 15:54:00 |
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ふふ、昨今は晴坊やのお家みたいなところはなかなか無いわねぇ。さぁさ、ごめんくださいな。
(時代が変われど人はそうそう変わらぬもの、それが人の業のようでもあり愛おしいと思うところでもあって、ただそれ故に人ならざるものたちが存在していられるのであり同時に今のようにこんな商売が成り立つものでもあり、と近代化の進んだ末の住居を訪ねて。依頼人が件のひとりかくれんぼを行ってから何日経ったのか、これが牡丹灯籠よろしくのようにであったら扉を開けた時点で依頼人の結末は決まってしまっていたところなのだろうが、幸いにしてというべきなのかやって来たのは本物の陰陽師であるのでこの後は式の使い方含めた主の腕の見せ所次第というところで。主に先んじて虎穴に飛び込むのは式の役目、勢い良く扉を開けた依頼人であり家主でもある者とは正反対にゆったりとした所作で一礼と共に玄関口は狭いので日傘ではなく鉄扇だけを手にして、もちろん靴を脱ぐ必要はないのでそのままで玄関から中に踏み入れるとその目の前のフローリングの床には確かに何かが這ったように不自然に何か濡れたような筋が部屋の奥に向かって伸びており。その状態を視認すると同時、玄関先の自動点灯式の電灯が何の前触れもなく砕け散るように割れて、手にしていた鉄扇を広げて下に落ちて来る破片を人間である二人には掛からないよう払いながら、明かりの落ちた中で感じる気配の濃さに表面上の言葉だけはとぼけたように)
あらあら……ねぇ、晴坊や。わたくし、かくれんぼを間違えて覚えていたのかしら。だって、かくれんぼというには、ねぇ?
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