創作者 2022-07-10 14:03:12 |
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……いえ、立派ではありません。でも、もっと魔法を正確に扱えるよう努力します。
(じっと彼女の顔を見つめていると、次は気の抜けた柔らかな笑みへと変わって。表情だけでその辺の集落ひとつ凍らせてしまいそうな冷たい魔女の表情が短時間でこんなにもころころと変わるだなんて本当に何があったのか。元々見惚れてしまうほど綺麗な顔立ちではあるが、こうも優しい表情をされてしまうと心臓が落ち着かず変な気持ちになり。しかしこの優しい表情や言動は一時的なもので、明日には元に戻ってしまうかもしれない、そう緊張が走るも繋いだ手に力がこもるのを感じては今はこの時を大切にしようと立ち上がる彼女を見上げて微笑み。続いて優しくかけられた立派という言葉にピクリと反応。最近の鍛錬は自分でも自覚できるほど失敗続きのお粗末なもので。お世辞にも立派だとは言えない状況下に立たされていることを思い出しては一瞬視線を落とし瞳が曇るも、ただ落ち込んだわけではなく頑張る意志を示し。髪を撫でられたことで、ふと何かを思いつけば微かに曇った瞳は輝きを取り戻し、思いついたひとつの願いと、あとに思いついた願い。どちらを取るか悩んだ挙句、図々しいのは承知の上で問いかけて。)
────── 魔女様。行く前にひとつだけお願いを…、いや、ふたつ聞いていただけないでしょうか。
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