女神の導き〆

【シルヴァン＝ジョゼ＝ゴーティエ】

なーんかうちの学級だけハードな課題を回されてるよなぁ。他の二学級はんなことないってのに。それもファーガスでの反乱の鎮圧ときた。
( 盗賊の討伐に引っ張りだされたかと思えば、今度は自国の小領主の反乱ときた。随分と立て続けに起こるそれらは波乱万丈と片付けてしまえばそれまでかもしれないが、どことなく違和感があるようで気にかかる。とはいえ陰謀論を好むようなたちでもない上に確信も証拠も存在しない状況、だから気のせいだと打ち消していれば、溜め息の多い隣の彼女の方に思考が引き戻されて。彼女の問い掛けにへらりと笑みを浮かべれば、軽い調子で文句を言いつつ。しかしクラスメイトの灰色の髪の彼の姿が脳裏にちらつけば、あくまでへらへらと平静を装いつつも声には怒りと呆れがほんの僅かに滲んでおり。酷いとあくまで冗談めかしたトーンで言いながらも両手を広げるオーバーなリアクションは、それを紛らわすためのもので。 )
大体アッシュがいるのに普通うちに任せるかね？教団への忠誠を試してるのかもしれないが、酷いことしやがるぜ。

【ミカエラ＝フォン＝エインズワース】

( 肌寒くもなく、かといって温くもない夜風がふわりと頬を撫でて髪をさらう。満点の星々が輝く中、こっそりと寮から抜け出した己の足は中庭へと向かい。日付を跨いでいないとはいえ、寮内であればともかく寮外への夜間の外出は禁止こそされていないものの人目にはつきやすいだろう。どうにも晴れない気分のままどさりとベンチに腰掛けて今日の出来事を思い返す。盗賊の討伐を行った、そして初めて人を手に掛けた。相手は盗賊なのだから間違ったことはしていないと理解しつつも、誰かの命を奪ったのは初めてなので少し感傷的な気分になっているのだ。そんな気分を変えたくて部屋から出たはいいが、教員や級長には見つかりたくないのであたりを散策する気にもなれずにベンチに座ったままぼーっと星空を見上げれば、右手を持ち上げて空に翳すようにしながら呟き。 )
あーあ、早く人の未来を奪う感覚にも慣れなきゃなぁ。早く切り替えないと、みんなに情けないって思われちゃう。


(/不都合なんてとんでもございません！いつもアビーさんとフェルディナントとのやり取りが楽しくて、ニマニマしています！
こちらは盗賊討伐した日の夜にて始めさせていただきましたが、絡みにくい等ございましたら遠慮なく仰ってくださいませ…！)