シスター 2022-06-17 19:27:15 |
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……、そうですか。お前はシスターでしたか。
( 緩く組んだ足の先、ぷらりぷらりと微かに揺らしながら答えを待っていると僅かに鼓膜に届く煩い心音はこの眼下に居るシスターの者だと理解して。急に現れた存在に驚くのはそれは当たり前かと内心考えつつ返ってきた答えには笑みを浮かべて。嗚呼そうか、この眼下に丸くなるこの女は神に祈りを捧げ、救いや答えを求める人々に平等に手を差し伸べる神の使徒だというのかと納得し。さてどうしたものかと少しばかり考えては瞬きをひとつ、堕とされた羽ではもう飛べもしないし天界にもちろん戻ることも出来ない。人間と全く同じ生活をせずとも生きてはいけるが、このまま教会に居たとて不便が生じるだろうと思案し )
慈悲深いシスターよ。私は不運にも、路頭に迷ってしまったのです─、身分を証明できるものはありませんが…もし良ければこの私を救っては頂けませんか?
( 軽く身を上げて祭壇の上から降りるとふわり、と静かな風が舞い。視線を落としてしまった相手の前に片膝をついて音もなく着地すると相手の両手を取り、持ち上げては顔を覗き込むようにして視線をあわせるとどこか困ったような表情を見せるも少し意地の悪い笑みを浮かべては、一瞬雲に隠れた白の月が顔を出し、それに照らされたせいかはたまたは別か瞳が煌めいて )
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