狐の面 2022-06-16 12:41:30 |
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言葉は魂…………昔の、平安時代にあるとされていた言霊野事でしょうか?
陰陽師やお坊さんが妖怪退治に大切にしてた中に、見鬼の才と真言に霊力を乗せる言霊だと本で読んだ事があります。
(モグモグと食事を見苦しくない程度に程よく咀嚼して飲み込んでいけば、和食がメインの為粒の立った白米に出汁が美味しい白味噌のお味噌汁、そして御言様も口にした里芋の煮物、ほうれん草の胡麻和え、魚の塩焼き等他にもたくさんの料理があるがこの料理を作る人はよくこんなに沢山の料理が作れるな。と思うと同時に大変じゃないのかなと少しだけ心配になる。これだけの料理が机を埋め尽くさんばかりに並んでいるのに一つとして同じ料理は無いし、同じ食材を使っていることも無い。施設に居た時にこの食事を見ていたら、きっと自分は羨ましく思っただろう。あの時は食うにも困るという程では無かったが、他の子達に回す為に自分のようなある程度の年齢の子達は満腹までは食べずに居たのだから、これらはきっとお宝を見つけたように黄金に輝いて見てただろうと考える。そして、ここにいる人達の服も施設に居た時とは比べ物にならないくらい肌触りが良く、質が良いものだとわかる。まさに格が──敷居が高いと言うのが正しいだろう。まさかそんな家に狐の嫁として引き取られるだなんて1年前の自分では考えもしなかっただろうし、過去に戻れて過去の自分にそれを言っても、何を言っているのかと鼻で笑うに違いない。ここでの暮らしはきっと息が詰まる事だらけで我慢の日々が続くだろう。それはもう嘆いても悔やんでも変わることの無い確定した事項だ。ならば少しでも息を抜ける時間が早く来るように稽古に精を出して身につける他無い。幸いな事にここでも格段の影響力と発言力を持つお狐様の御言様は自分を気に入り、それなりに心を砕いてくれるのが分かるのが本当に不幸中の幸いだ。彼は狐なので、まだ心の全てを開くのには勇気も信用も足りないが、これからの生活でそれらは観察して決めればいい事。そんな事を考えながら食べていれば、御言様の言葉が耳に入る。男性らしい低くて聞き心地の良い声が発した言葉を少し考えれば、口の中の物を飲み込むと、以前暇つぶしで読んでいた本にも似た様な言葉の1文があったことを思い出し、古くから生きているお狐様だ。そんなような特別な妖力と言われるような、神通力とも言うべき力があるのかもしれないと興味が出てきて。自分を抱えて後ろに座る御言様を見ようと振り返って顔を見上げて質問すれば、視界の隅にチラつく綺麗な尻尾。その尻尾がふわふわとしていて如何にも手触りの良さそうなそんなフサフサ加減に気を取られ、目線が御言様の双眸から尻尾へと移り)
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