狐の面 2022-06-16 12:41:30 |
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…ありがとう、ございます。
御言様のおかげで綺麗に直りました。
(着物を直すのを手伝ってくれれば、自分で直すよりもやはり着物に触れる機会が多いからか幾分か早く着物の着崩れを直すことが出来、見栄えも自分1人でやるよりも綺麗な気がする。自分でもどこか着崩れていないか見下ろしてみても自分では苦手意識があったお端折りが自然な形で出来ており、女中の人が支度してくれたと言っても納得されそうだ。手伝ってくれた事にお礼を言い、自分でやるよりも綺麗だと手を広げて振袖部分を見せながら御言様の器用さを凄いと尊敬し。
そしてそのまま声がかかった事で御言様に手を引かれながら部屋を移動する。大人と子供なので当然なのだが、手の大きさが全く違う。自分の手なんてすっぽり隠れているし、このまま御言様が少し力を込めれば骨なんて簡単に折れるし、爪でも肌を切り裂けるだろうが不思議と恐怖心は出てこない。この家では堅苦しい躾や礼儀作法、座学と息の詰まる事ばかりだが、今包んでくれているこの温もりはほんの少しだけ気持ちが楽になる魔法の手だ。と繋がれた手を見つめてそう感じると、少しだけ力を込めて握られた手を握り返してみる。そんな風に歩いていれば、いくらこの屋敷が広いとはいえ案内役の人も居るからか広間へと辿り着く。
用意された紫色の座布団に座ろうとすれば、手招きされた為、近寄ればお気に入りの人形を常に持った子供の人形のように何故か御言様の左膝に座る体勢に。始めはえっ?となり、少し固まると我に返って手を合わせて挨拶をすると箸を手に取る。御言様の食事に邪魔にならないように気をつけてご飯を食べ出し)
…………ご飯、美味しいです。
お昼よりも美味しく感じます。
(昼間はちょっとしたゴタゴタで1人で摂ることになったが、その時よりも味も質も量も何も変わっていない筈なのに昼よりも美味しく感じる。心細いと言う気持ちが無いだけでここまで違うんだと思いながらも少し表情を和らげてモグモグと食事を食べ進めていき)
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