狐の面 2022-06-16 12:41:30 |
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──寝込みを襲うとは、なかなかにやるものだな。…、何を悪戯していんだ?
(縁側では体を痛めるために中庭を眺められる何も無い空き部屋の畳に寝転んで天井の木目を見つめていたがいつの間にか眠っていたようで、ふと無意識の闇の底から引き揚げられるような感覚に意識が少しづつ覚醒しているのだと気付くもまだ眠っていたいと思う葛藤があるせいか、瞼が重い。正直睡眠も食事もさして必要はないのだが全く眠らないとそれはそれで精神的に疲れを感じるため時々こうして眠るのだが、ここ云十年としっかり眠ったことがなく久々にこうして眠ったものだと考えながらさて散歩でもしてこようかと思っていた矢先、近付いてくる小さな足音が耳へと届いて。何だろうかと起きて出迎えようかと思ったが少しばかりの悪戯心が働くとそのまま眠っているように装い、襖が開いた音と近付く息遣いは間違えようのない小さな小さな花嫁。起こしに来たのだろうかそれとも、と考えていると不意に髪に触れる相手の温度に珍しいものなのかただ触れたいだけなのだろうか暫くの間好きにさせてやろうかと、何やら毛先の辺りが時折引っ張られる感覚に驚かせてやろうかなんてパッと目を開けては呟いて。飛び上がるかもしれない相手を片腕で軽々しく抱き寄せては、横向きに寝転んでそのまま両手で小さな相手を包みこむと眼下に埋まる顔へ視線を落としては全てを知っているにも関わらず優しい声色で問い掛けて)
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