狐の面 2022-06-16 12:41:30 |
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あ、えっと……これは、その。
私が上手にお稽古が出来なかったからなので、誰も悪くありません。強いて言うなら上手く出来なかった私が悪いので怒らないで下さい。
(グイッと手首を取られ引っ張られれば、そこには隠しきれない赤みと叩かれすぎて皮膚が少々裂けたのか僅かに滲んでいる血を見れば、バレてしまったと罰の悪そうな表情を見せ。そして目の前にいる御言様から隠しきれない怒気を肌で感じれば、背筋が凍るようなヒヤリとした感覚がして、ゾワゾワとしていて、畏れかはたまた恐れからか肌が泡立ち怒気を顕にしている彼に正直に誰がやったと言ったが最後、その口から見え隠れする鋭い犬歯でお稽古をしてくれたあの人の喉元に噛み付いて亡き者にしてしまうのではないかと考えると、それが起こったら自分はどんな扱いを受けるのかわかったものでは無い。それだけは避けようと彼が望んだ答えでは無いと頭では理解しながら、あの女の人を庇い自分を自虐するようなそんな言葉を口にすると、この言葉を受けて更に怒り狂うだろうかと震えそうになる体を気力で抑えつけ、無駄に力が入った体で彼の反応を見守り)
【女中】
……失礼致します。
昼餉を用意致し………いかがされましたか、御言様。
(品数はだいぶ揃っていたが、これだけは出来たてを食べてもらわねばその味を損ねてしまうという事で、暖かく湯気を燻らせて出来たてで暖かな料理である事を示し、匂いも食欲が唆るようなそんな汁物を広間にと言われてお盆でそれを運び一旦縁側の板へと置いて入室する事を告げた後にやや視線を下へと向けながら障子を音もなく開けて用件と汁物を手に1歩入室した後に、いつもなら入室に対して答えがあるのにと不思議に思って視線を上げれば、花嫁の手首を引いて怒りを顕にしている御言様が目に入れば、どうしたのかと問いかけて)
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